ワソラン静注5mg


作成又は改訂年月

**2011年5月改訂 (第13版)

*2009年6月改訂

日本標準商品分類番号

872129

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
1993年9月

薬効分類名

Ca++拮抗性不整脈治療剤

承認等

販売名
ワソラン静注5mg

販売名コード

2129402A1040

承認・許可番号

承認番号
21900AMX00095000
商標名
Vasolan

薬価基準収載年月

2007年6月

販売開始年月

1985年12月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存(本剤は光により含量が低下することがあるので、容器は褐色アンプルを使用している。)

使用期限

外箱又はラベルに表示の使用期限内に使用すること。

規制区分

劇薬

処方箋医薬品注)

注) 注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

本剤は下記の成分を含有する無色澄明な注射剤で、ワンポイントカットの褐色アンプルに充てんされている。

有効成分
1管(2mL)中の分量

ベラパミル塩酸塩 5mg

添加物
1管(2mL)中の分量

希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
D-ソルビトール 100mg

性状

本剤は無色澄明の液である。

pH

4.5〜6.5

浸透圧比

約1 (生理食塩液に対する比)

一般的名称

ベラパミル塩酸塩製剤

警告

1.
**小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること。

2.
**新生児及び乳児に使用する際には、生命に危険があり、他の治療で効果がない場合にのみ投与すること。
〔「小児等への投与」の項参照〕

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
重篤な低血圧あるいは心原性ショックのある患者
〔本剤は陰性変力作用ならびに血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。〕

2.
高度の徐脈、洞房ブロック、房室ブロック(第II、III度)のある患者
〔本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。〕

3.
重篤なうっ血性心不全のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。〕

4.
急性心筋梗塞のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、急性心筋梗塞時の心機能を更に悪化させることがある。〕

5.
重篤な心筋症のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心機能を更に悪化させることがある。〕

6.
β-遮断剤の静注を受けている患者
〔「相互作用」の項参照〕

7.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

頻脈性不整脈
  (発作性上室性頻拍、発作性心房細動、発作性心房粗動)

用法及び用量

**成人:
通常、成人には1回1管(ベラパミル塩酸塩として5mg)を、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖注射液で希釈し、5分以上かけて徐々に静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

**小児:
通常、小児にはベラパミル塩酸塩として1回0.1〜0.2mg/kg(ただし、1回5mgを超えない)を、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖注射液で希釈し、5分以上かけて徐々に静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
低血圧の患者
〔本剤は血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。〕

2.
第I度の房室ブロックのある患者
〔本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。〕

3.
WPW、LGL症候群のある患者
〔本剤の房室伝導抑制作用により、心房興奮が副伝導路を通りやすくなる結果として心室細動を生じることがある。〕

4.
うっ血性心不全のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。〕

5.
基礎心疾患(心筋症、弁膜症、高血圧性心疾患等)のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。〕

6.
重篤な肝・腎不全のある患者
〔本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。〕

7.
筋ジストロフィーのある患者
〔本剤は主に平滑筋を弛緩させるが骨格筋に対しても作用を有し、筋収縮力を悪化させることがある。〕

8.
**新生児及び乳児
〔「小児等への投与」の項参照〕

重要な基本的注意

1.
心電図を連続的に監視すること。

2.
頻回の血圧測定を行うこと。

3.
投与中に徐脈や血圧低下などの異常が観察された場合には、減量又は投与を中止すること。また必要に応じて適切な処置を行うこと。

4.
投与中に不整脈が停止した場合は、患者の様子を見て投与を中止すること。

相互作用

相互作用の概略

**本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。また、本剤はP-糖蛋白の基質であるとともに、P-糖蛋白に対して阻害作用を有する。

併用禁忌

(併用しないこと)

1.

薬剤名等 
静注用β-遮断剤
(インデラル)

臨床症状・措置方法
心機能の低下や徐脈があらわれることがある。

機序・危険因子
β-遮断剤は本剤と同様に陰性変力作用や徐脈作用を有し、両者の心抑制作用が相互に増強される。

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等 
血圧降下剤

臨床症状・措置方法
血圧の低下が増強することがある。

機序・危険因子
本剤と血圧降下剤の血管拡張作用が増強される。

2. 薬剤名等 
β-遮断剤
(経口・点眼剤)
ラウオルフィア製剤

臨床症状・措置方法
心機能の低下や徐脈があらわれることがある。自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両者の心抑制作用が相互に増強される。特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意すること。

3. 薬剤名等 
抗不整脈剤
  キニジン硫酸塩水和物
  プロカインアミド塩酸塩
  リドカイン
  ピルシカイニド塩酸塩水和物
  フレカイニド酢酸塩等
低カリウム血症を起こすおそれがある薬剤
  利尿剤等

臨床症状・措置方法
徐脈、房室ブロックがあらわれることがあり、高度の不整脈に発展させることがある。自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止すること。

機序・危険因子
相加的な抗不整脈作用の増強や低カリウム血症により催不整脈作用が生じる。

4. 薬剤名等 
ジギタリス製剤
  ジゴキシン
  メチルジゴキシン等

臨床症状・措置方法
高度の徐脈、房室ブロック等の徐脈性不整脈があらわれることがある。また、これらの不整脈を含めたジギタリスの血中濃度上昇による中毒症状(悪心・嘔吐、食欲不振、頭痛、疲労、けん怠感等)があらわれることがある。
定期的に心電図検査を行い、ジギタリスの中毒症状の有無を確認し、必要に応じてジギタリスの血中濃度を測定する。異常が認められた場合には、両剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
相加的な房室結節・洞結節抑制作用の増強やジギタリスの心刺激作用により不整脈が生じる。特にβ-遮断剤との3剤併用時には注意すること。
また、ジギタリスの血中濃度の上昇は本剤のジギタリスの腎排泄抑制によるものと考えられる。

5. 薬剤名等 
**ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩

臨床症状・措置方法
本薬の経口剤では、ダビガトランの抗凝固作用が増強することがある。

機序・危険因子
本薬の経口剤において、ダビガトランの血中濃度を上昇させるとの報告がある。

6. 薬剤名等 
吸入麻酔薬

臨床症状・措置方法
心機能の低下や徐脈があらわれることがある。脈拍数、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両剤の心抑制作用が相互に増強される。

7. 薬剤名等 
リトナビル

臨床症状・措置方法
本剤のAUCが3倍を超えることが予測されるので、本剤を減量するとともに血中濃度のモニターや診察の回数を増やすなど慎重に投与すること。

機序・危険因子
相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。

8. 薬剤名等 
インジナビル硫酸塩エタノール付加物
アタザナビル硫酸塩
キヌプリスチン・ダルホプリスチン

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、副作用を増強するおそれがある。

機序・危険因子
相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。

9. 薬剤名等 
イトラコナゾール
ミコナゾール

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度を上昇させることがある。

機序・危険因子
相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度を上昇させる。

10. 薬剤名等 
アプリンジン塩酸塩

臨床症状・措置方法
アプリンジンの血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、アプリンジンを減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

11. 薬剤名等 
カルバマゼピン

臨床症状・措置方法
カルバマゼピンの血中濃度が上昇し、中毒症状(めまい、頭痛等)があらわれることがある。カルバマゼピンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

12. 薬剤名等 
ミダゾラム

臨床症状・措置方法
ミダゾラムの血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

13. 薬剤名等 
セレギリン塩酸塩

臨床症状・措置方法
セレギリンの作用を増強し、毒性が大幅に増強する可能性がある。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

14. 薬剤名等 
シクロスポリン

臨床症状・措置方法
シクロスポリンの血中濃度が上昇することがある。シクロスポリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、シクロスポリンを減量又は中止すること。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

15. 薬剤名等 
パクリタキセル

臨床症状・措置方法
パクリタキセルの血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、パクリタキセルを減量、投与間隔を延長又は中止するなど適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

16. 薬剤名等 
ビノレルビン酒石酸塩

臨床症状・措置方法
ビノレルビンの血中濃度が上昇することがある。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

17. 薬剤名等 
ゲフィチニブ

臨床症状・措置方法
ゲフィチニブの血中濃度が上昇し、副作用を増強するおそれがある。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

18. 薬剤名等 
エレトリプタン臭化水素酸塩

臨床症状・措置方法
エレトリプタンの血中濃度が上昇することがある。

機序・危険因子
本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。

19. 薬剤名等 
テオフィリン
アミノフィリン水和物
コリンテオフィリン

臨床症状・措置方法
テオフィリンの血中濃度が上昇することがある。テオフィリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、テオフィリン製剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤による肝薬物代謝酵素阻害作用により、テオフィリンのクリアランスが低下するため、テオフィリンの血中濃度を上昇させる。

20. 薬剤名等 
リファンピシン
フェニトイン
フェノバルビタール

臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱することがある。

機序・危険因子
相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる。

21. 薬剤名等 
ダントロレンナトリウム

臨床症状・措置方法
高カリウム血症や心機能低下が生じることがある。

機序・危険因子
機序不明

副作用

副作用等発現状況の概要

総症例1,932例中、89例(4.61%)の副作用が報告されている。(再審査終了時)

その他の副作用

循環器注)
0.1〜5%未満 
血圧低下、心室性期外収縮、洞停止、房室ブロック、徐脈、上室性期外収縮、心室性頻拍

循環器注)
0.1%未満 
脚ブロック、洞房ブロック、一過性心停止

消化器
0.1〜5%未満 
悪心、嘔吐

消化器
0.1%未満 
口渇

内分泌
頻度不明 
血中プロラクチンの上昇、男性における血中黄体形成ホルモン・血中テストステロンの低下

肝臓
0.1〜5%未満 
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等

その他
0.1〜5%未満 
胸痛

その他
0.1%未満 
頭痛、顔面のほてり、臭気感

注) このような場合には直ちに投与を中止し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、減量するなど注意すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい。
〔動物実験(マウス)で本薬の経口投与により胎児毒性(死胚)が報告されている。〕

2.
授乳婦への投与は避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。
〔ヒトにおいて本薬の経口投与で乳汁中への移行が報告されている。〕

小児等への投与

**新生児及び乳児はカルシウム拮抗剤の感受性が高く、徐脈、心停止等を生じる危険性が大きい。新生児及び乳児に本剤を投与した際、重篤な徐脈や低血圧、心停止等が認められたとの報告がある。

過量投与

1. 徴候・症状
本剤の過量投与により、ショック、著明な血圧低下、心不全の悪化、完全房室ブロック等が認められたとの報告がある。

2. 処置

(1)
ショックや心不全の悪化の場合
本剤の投与を中止し、昇圧剤、強心薬、輸液等の投与やIABP等の補助循環の適用を考慮すること。

(2)
心停止や完全房室ブロックの場合
本剤の投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングの適用を考慮すること。

適用上の注意

アンプルカット時
本剤はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。

その他の注意

本薬の経口投与により女性型乳房があらわれたとの報告がある。

薬物動態

1. 血中濃度
健康成人男子2ないし3名にベラパミル塩酸塩として2.5、5、10mg注)を単回静脈内投与した際、血漿中濃度は急速に低下し、投与後15分以内に最高血漿中濃度の1/2〜1/4に低下した。半減期及び血漿中濃度曲線下面積(AUC)は下表のごとくである。また、ベラパミル及び代謝物の尿中排泄率は、24時間までに投与量の23.7%であった。



(表1参照)

2. 代謝
ベラパミルの代謝酵素は主にCYP3A4であり、主要代謝物はN-脱メチル化されたノルベラパミルである。1)

薬物動態の表

表1 静注(4〜5分間)後のベラパミルの半減期、AUC値

投与量 t1/2α(min) t1/2β(min) t1/2γ(hr) AUC
(ng・hr/mL) 
2.5mg 2.2 26.2 4.2 93.9 
5.0mg 1.0±0.2 32.3±13.8 4.0±0.7 140.6±2.4 
10.0mg注) 2.1±0.4 30.3±7.9 4.0±0.1 278.5±19.8 

注) 10mg単回投与は承認外用量である。Mean±S.E., n=2〜3


臨床成績

1. 有効率及び発作停止率
二重盲検試験及び一般臨床試験における有効率は81.6%(288/353)である。疾患別の有効率及び発作停止率は下表のごとくである。

(表2参照)

2. 発作停止までの経過

(1)
発作が停止した症例の静注開始から発作停止までの時間別分布は下表のごとくである。

(表3参照)

(2)
不整脈停止の過程で洞停止、一過性心停止、心室性期外収縮等の発現や心房細動、心房粗動への移行があらわれることがある。7)

臨床成績の表

表2

  有効率(%) 有効率(%) 発作停止率(%) 発作停止率(%) 
  二重盲検試験 一般臨床試験 二重盲検試験 一般臨床試験 
発作性
上室性頻拍 
93.5%
(43/46) 
84.7%
(194/229) 
76.1%
(35/46) 
85.7%
(84/98) 
発作性
心房細動 
60.7%
(17/28) 
66.7%
(18/27) 
3.6%
(1/28) 
12.5%
(2/16) 
発作性
心房粗動 
71.4%
(5/7) 
68.8%
(11/16) 
14.3%
(1/7) 
25.0%
(3/12) 

注) 一般臨床試験の停止率算出は、停止時間が明示されている症例のみを集計した。2) 3) 4) 5) 6)


表3

停止までの時間 二重盲検試験 一般臨床試験 
5分以下 51.4%(19/37) 65.2%(58/89) 
10分以下 89.2%(33/37) 87.6%(78/89) 
10分以上 100.0%(37/37)
(20分以内) 
100.0%(89/89) 

薬効薬理

1. Ca++流入を抑え、抗不整脈作用を示す
モルモット及びウサギの摘出心筋を用いた実験において、slow channelを通るCa++の流入を抑制することが確認されている。また、麻酔イヌを用いた実験で、特に房室結節に作用して房室伝導系の有効不応期、機能的不応期を延長させ、房室伝導を遅延させる。8) 9) 10)

2. ノルアドレナリンや電気刺激による実験的不整脈を抑制する

(1)
イヌ摘出心筋を用いた実験において、ノルアドレナリンの房室結節への局所投与によって誘発される上室性頻拍を消失又は著明に軽減する。11)

(2)
麻酔イヌを用いた実験において、電気刺激によって誘発された心房細動時の心室レートを有意に減少させる。10)

3. 冠状動脈や末梢血管を拡張する
イヌ摘出心筋や麻酔イヌを用いた実験において、冠状動脈を含む血管平滑筋の興奮−収縮連関を抑制し、冠血流量を増加し、末血管抵抗を減少する。12) 13)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ベラパミル塩酸塩(Verapamil Hydrochloride)
(別名):塩酸イプロベラトリル

化学名
(2RS )-5-[(3,4‐Dimethoxyphenethyl)methylamino]‐2‐(3,4‐dimethoxyphenyl)-2-(1-methylethyl) pentanenitrile monohydrochloride

分子式
C27H38N2O4・HCl

分子量
491.06

構造式

物理化学的性状
ベラパミル塩酸塩は白色の結晶性の粉末で、においはない。
本品はメタノール、酢酸(100)又はクロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)又は無水酢酸にやや溶けやすく、水にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。

融点
141〜145℃

包装

ワソラン静注5mg(2mL) 10管

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Kroemer, H.K. et al.:Naunyn‐Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 348, 332 (1993) 文献請求番号VA‐3338

2)
比江嶋一昌ら:臨牀と研究, 58, 3416 (1981) 文献請求番号VA‐0613

3)
勝目 紘ら:臨牀と研究, 58, 1306 (1981) 文献請求番号VA‐0617

4)
河合忠一ら:臨牀と研究, 61, 4023 (1984) 文献請求番号VA‐1311

5)
小沢武文ら:臨牀と研究, 62, 1657 (1985) 文献請求番号VA‐1505

6)
加藤和三ら:心電図, 5, 49 (1985) 文献請求番号VA‐1404

7)
Singh, B.N. et al.:Drugs, 15, 169 (1978) 文献請求番号VA‐2924

8)
Nabata, H.:Jpn. J. Pharmacol., 27, 239 (1977) 文献請求番号VA‐0226

9)
Okada, T. et al.:Circ. J., 39, 913 (1975) 文献請求番号VA‐1614

10)
池田信男ら:臨牀と研究, 54, 4176 (1977) 文献請求番号VA‐0231

11)
Motomura, S. et al.:Naunyn‐Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 315, 241 (1981) 文献請求番号VA‐0731

12)
Narimatsu, A. et al.:Naunyn‐Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 294, 169 (1976) 文献請求番号VA‐0318

13)
古谷幸雄ら:麻酔, 32, 409 (1983) 文献請求番号VA‐0934

文献請求先・製品情報お問い合わせ先

エーザイ株式会社 hhcホットライン

フリーダイヤル 0120-419-497

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
エーザイ株式会社

東京都文京区小石川4-6-10

提携  
アボットラボラトリーズ