アジルバ錠10mg/アジルバ錠20mg/アジルバ錠40mg


作成又は改訂年月

**2014年6月改訂(第8版)

*2014年6月改訂

日本標準商品分類番号

872149

薬効分類名

持続性AT1レセプターブロッカー

承認等

販売名
アジルバ錠10mg

販売名コード

2149048F3025

承認・許可番号

承認番号
22600AMX00521
商標名
AZILVA Tablets 10mg.

薬価基準収載年月

*2014年5月

販売開始年月

**2014年6月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1錠中の有効成分

アジルサルタン10mg

添加物

乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール6000、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄

性状

剤形

フィルムコーティング錠

錠剤の色

微黄赤色

識別コード

A1

形状(上面)

形状(下面)

形状(側面)

長径(mm)

8.2

短径(mm)

4.7

厚さ(mm)

約3.1

販売名
アジルバ錠20mg

販売名コード

2149048F1022

承認・許可番号

承認番号
22400AMX00038
商標名
AZILVA Tablets 20mg.

薬価基準収載年月

2012年4月

販売開始年月

2012年5月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1錠中の有効成分

アジルサルタン20mg

添加物

乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール6000、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、結晶セルロース、三二酸化鉄

性状

剤形

両面割線入りのフィルムコーティング錠

錠剤の色

微赤色

識別コード

A2

形状(上面)

形状(下面)

形状(側面)

長径(mm)

9.1

短径(mm)

5.1

厚さ(mm)

約3.3

販売名
アジルバ錠40mg

販売名コード

2149048F2029

承認・許可番号

承認番号
22400AMX00039
商標名
AZILVA Tablets 40mg.

薬価基準収載年月

2012年4月

販売開始年月

2012年5月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1錠中の有効成分

アジルサルタン40mg

添加物

乳糖水和物、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール6000、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、結晶セルロース、黄色三二酸化鉄

性状

剤形

両面割線入りのフィルムコーティング錠

錠剤の色

黄色

識別コード

A4

形状(上面)

形状(下面)

形状(側面)

長径(mm)

9.1

短径(mm)

5.1

厚さ(mm)

約3.3

一般的名称

アジルサルタン錠

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

3.
アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。](「重要な基本的注意」の項参照)

効能又は効果

高血圧症

用法及び用量

通常、成人にはアジルサルタンとして20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は40mgとする。

用法及び用量に関連する使用上の注意

本剤の降圧効果を考慮し、本剤適用の可否を慎重に判断するとともに、20mgより低用量からの開始も考慮すること。(【臨床成績】の項参照)

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)

2.
高カリウム血症の患者(「重要な基本的注意」の項参照)

3.
重篤な腎機能障害のある患者
[腎機能を悪化させるおそれがある。eGFR 15mL/min/1.73m2未満の患者での使用経験は少ないので、このような患者に対しては、低用量から投与を開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うなど慎重に投与すること。]

4.
肝機能障害のある患者
[外国において、中等度の肝機能障害患者でアジルサルタンの血中濃度(AUC)は、健康成人と比較して64%上昇することが報告されている。高度な肝機能障害患者での使用経験はない。](【薬物動態】の項参照)

5.
脳血管障害のある患者
[過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。]

6.
薬剤過敏症の既往歴のある患者

7.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

重要な基本的注意

1.
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。

2.
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現するおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。

3.
アリスキレンフマル酸塩を併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。

4.
本剤の投与により、急激な血圧の低下を起こすおそれがあるので、特に次の患者では低用量から投与を開始するなど、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。

(1)
血液透析中の患者

(2)
厳重な減塩療法中の患者

(3)
利尿降圧剤投与中の患者

5.
降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

6.
手術前24時間は投与しないことが望ましい(アンジオテンシンII受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン-アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こす可能性がある)。

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等
アルドステロン拮抗剤・カリウム保持性利尿剤
  スピロノラクトン、トリアムテレン、エプレレノン 等
カリウム補給剤
 塩化カリウム 等

臨床症状・措置方法
血清カリウム値が上昇することがあるので注意すること。

機序・危険因子
本剤のアルドステロン分泌抑制作用によりカリウム貯留作用が増強することによる。
危険因子:特に腎機能障害のある患者

2. 薬剤名等
利尿降圧剤
  フロセミド、トリクロルメチアジド 等

臨床症状・措置方法
利尿降圧剤で治療を受けている患者に本剤を初めて投与する場合、降圧作用が増強するおそれがあるので注意すること。

機序・危険因子
利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。

3. 薬剤名等
アリスキレンフマル酸塩

臨床症状・措置方法
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。

機序・危険因子
併用によりレニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。

4. 薬剤名等
*アンジオテンシン変換酵素阻害剤

臨床症状・措置方法
*腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。

機序・危険因子
*併用によりレニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。

5. 薬剤名等
リチウム

臨床症状・措置方法
リチウム中毒が起こるおそれがあるので、リチウムと併用する場合には、血中のリチウム濃度に注意すること。

機序・危険因子
腎尿細管におけるリチウムの再吸収が促進される。

6. 薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)・COX-2選択的阻害剤
  インドメタシン 等

臨床症状・措置方法
降圧作用が減弱することがある。

機序・危険因子
非ステロイド性消炎鎮痛剤・COX-2選択的阻害剤は血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害することから、降圧作用を減弱させる可能性があると考えられている。

7. 薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)・COX-2選択的阻害剤
  インドメタシン 等

臨床症状・措置方法
腎機能障害のある患者では、さらに腎機能が悪化するおそれがある。

機序・危険因子
非ステロイド性消炎鎮痛剤・COX-2選択的阻害剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられている。

副作用

副作用等発現状況の概要

承認時までの国内の臨床試験では、930例中の97例(10.4%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められた。

重大な副作用

(いずれも頻度不明)

以下の副作用があらわれることがあるので注意すること。

(1)
血管浮腫:顔面、口唇、舌、咽・喉頭等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(2)
ショック、失神、意識消失:ショック、血圧低下に伴う失神、意識消失があらわれることがあるので、観察を十分に行い、冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。特に血液透析中、厳重な減塩療法中あるいは利尿降圧剤投与中の患者では低用量から投与を開始するなど、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。

(3)
急性腎不全:急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(4)
高カリウム血症:重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。

その他の副作用

過敏症注2)
頻度不明 
発疹、湿疹、そう痒

循環器
0.1〜5%未満 
めまい

精神神経系
0.1〜5%未満 
頭痛

代謝異常
0.1〜5%未満 
血中カリウム上昇、血中尿酸上昇

消化器
0.1〜5%未満 
下痢

肝臓
0.1〜5%未満 
ALT(GPT)、AST(GOT)の上昇

腎臓
0.1〜5%未満 
BUN、クレアチニンの上昇

その他
0.1〜5%未満 
血中CK(CPK)上昇

その他の副作用の注意

注2)このような場合には投与を中止すること。

高齢者への投与

1.
高齢者では患者の状態を観察しながら低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。
[一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。]

2.
臨床試験では65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者において、本剤の効果、安全性に差は認められていない。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
[妊娠中期及び末期にアンジオテンシンII受容体拮抗剤やアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された高血圧症の患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。]

2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
[ラットの周産期及び授乳期に本剤を強制経口投与すると、0.3mg/kg/日以上の群で出生児に腎盂拡張が認められ、10mg/kg/日以上で体重増加の抑制が認められている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

薬物動態

1. 血中濃度

(1) 単回投与1)
健康成人にアジルサルタン20mg(9例)及び40mg(9例)を単回投与した時、未変化体の血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは下図及び表1のとおりである。

(2) 反復投与2)
健康成人にアジルサルタン20mg(12例)及び40mg(12例)を1日1回7日間投与した時、血漿中濃度は投与4日後までに定常状態に達し、それぞれ蓄積性はなかった。

(3) 食事の影響3)
健康成人(12例)にアジルサルタン40mgを食後投与した時、未変化体のCmax、AUCは絶食下投与した時と比較して、それぞれ3.0%、8.4%減少した。

2. 蛋白結合率4)
14C]アジルサルタンを0.3、3、30μg/mL濃度でヒト血漿に添加した時、いずれも蛋白結合率は99.5%であった(in vitro)。

3. 代謝5)

(1)
アジルサルタンは脱炭酸により代謝物M-Iに、また、CYP2C9により代謝物M-IIに代謝される。なお、M-I及びM-IIのAT1受容体の阻害作用は未変化体の約1/1,000であった(in vitro)。

(2)
アジルサルタンはCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4を阻害せず、CYP3Aを誘導しなかった(in vitro)。

4. 尿中排泄2)
健康成人にアジルサルタン20mg(12例)及び40mg(12例)を1日1回7日間反復投与した時、投与168時間までの未変化体の累積尿中排泄率はそれぞれ15.1%、14.6%であった。

5. 腎障害時の動態6,7)
腎障害の程度が異なる高血圧症患者(eGFRが15〜30未満の重度腎障害者4例、30〜60未満の中等度腎機能障害者10例、60以上の正常〜軽度腎機能障害者8例)にアジルサルタン20mgを1日1回7日間反復投与した時、正常〜軽度腎機能障害者と比較して中等度腎機能障害者のCmax、AUCはそれぞれ17.3%、16.7%増加し、重度腎機能障害者のCmax、AUCはそれぞれ8.9%、39.3%増加した。
また、腎障害を伴う高血圧症患者を対象とした試験(【臨床成績】3.の項参照)において、中等度腎機能障害者と比較して重度腎機能障害者のトラフ時血漿中薬物濃度は35.1〜61.3%増加し、重篤な腎機能障害者(eGFRが15未満)のトラフ時血漿中薬物濃度は51.0〜91.9%増加した。
 ※男性のeGFR(mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×Age-0.287
  女性のeGFR(mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×Age-0.287×0.739

6. 肝機能障害時の動態 (外国人データ)8)
軽度〜中等度肝機能障害者(Child-Pughスコアが5〜6の軽度肝機能障害者8例、7〜9の中等度肝機能障害者8例、計16例) 及び健康成人(16例)にアジルサルタン メドキソミル※※として40mgを5日間反復投与した時、健康成人と比較して軽度肝機能障害者のCmaxは7.7%減少、AUCは27.9%増加、中等度肝機能障害者のCmax、AUCはそれぞれ17.9%、64.4%増加した。(「慎重投与」の項参照)。
 ※ : ビリルビン、アルブミン、PT又はINR、肝性脳症、腹水症の状態からスコア化する分類
 ※※ :アジルサルタンのプロドラッグ体(国内未承認)

7. 加齢の影響 (外国人データ)9)
健康な高齢者(65歳以上85歳以下、24例)及び非高齢者(18歳以上45歳以下、24例)にアジルサルタン40mgを1日1回5日間反復投与した時、高齢者のCmax、AUC(8日目)は、非高齢者と比較してそれぞれ15.6%、9.0%減少した。

8. 薬物間相互作用 (外国人データ)10)
健康成人(18例)にフルコナゾール(CYP2C9阻害剤)200mgを1日1回7日間反復投与及びアジルサルタン40mgを単回併用投与(フルコナゾール投与7日目)した時、アジルサルタンのCmax、AUCは、単独投与時と比較してそれぞれ14.1%、42.1%増加した。

表1 単回投与時の血中濃度

投与量 Cmax
(ng/mL) 
Tmax
(h) 
AUC0-inf
(ng・h/mL) 
T1/2
(h) 
20mg 2,020.1±496.1 1.8±0.6 15,475.8±4,413.8 13.2±1.4 
40mg 4,707.8±1,048.3 2.4±0.5 33,892.0±8,109.3 12.8±1.3 

(平均値±標準偏差)


臨床成績

1. 本態性高血圧症

(1) 二重盲検比較試験(用量設定試験)11)
I度又はII度本態性高血圧症患者を対象にアジルサルタンを1日1回12週間投与したプラセボ対照二重盲検比較試験の結果は表2のとおりである。
トラフ時座位血圧変化量はいずれの投与群においてもプラセボ投与群に比べ有意な差が認められた(p<0.0001、対比検定)。

(2) 二重盲検比較試験(検証試験)12)
I度又はII度本態性高血圧症患者を対象にアジルサルタン投与群に1日1回20mg(8週間)及び40mg(8週間)の計16週間投与、並びにカンデサルタン シレキセチル投与群に8mg及び12mgを同一用法にて投与した二重盲検比較試験の結果は表3のとおりである。
トラフ時座位血圧変化量(LOCF法)は、アジルサルタン投与群(n=311)において対照群のカンデサルタン シレキセチル投与群(n=309)に比べ有意な差が認められた。
なお、トラフ時座位血圧の投与前値(拡張期/収縮期:平均値±標準偏差)は、アジルサルタン投与群(n=313)は100.3±4.26/160.0±7.70、カンデサルタン シレキセチル投与群(n=309)は100.4±4.11/159.6±7.27であった。

(3) 血圧日内変動12)
上記(2)の二重盲検比較試験(検証試験)における自由行動下血圧測定(ABPM)の結果、アジルサルタン投与群の投与0週及び14週時点の24時間血圧推移は下図のとおりであった。

(4) 長期投与試験(非盲検試験)13)
I度又はII度本態性高血圧症患者(362例)を対象にアジルサルタン10〜40mg(10mgより開始)を1日1回52週間単独投与、利尿降圧剤又はカルシウム拮抗剤と併用投与した時、いずれも安定した降圧効果が得られた。

2. III度高血圧症(非盲検試験)14)
III度高血圧症患者(25例)を対象にアジルサルタン20〜40mg(20mgより開始)を1日1回8週間投与した時、安定した降圧効果が得られた。

3. 腎障害を伴う高血圧症(非盲検試験)15)
腎障害を伴う高血圧症患者(41例)を対象にアジルサルタン10〜40mg(10mgより開始)を1日1回10週間投与した時、安定した降圧効果が得られた。

表2 二重盲検比較試験(用量設定試験)

投与群 トラフ時座位血圧(mmHg)# トラフ時座位血圧(mmHg)# トラフ時座位血圧(mmHg)# トラフ時座位血圧(mmHg)# 
  拡張期 拡張期 収縮期 収縮期 
  投与前値 変化量 投与前値 変化量 
プラセボ 82 100.8±4.21 -4.1±9.12a) 160.0±7.66 -8.2±14.63a) 
アジルサルタン
10mg 
83 100.2±4.07 -10.8±7.76a) 158.5±6.96 -17.6±14.20a) 
アジルサルタン
20mg 
85 101.5±4.72 -12.5±9.60 159.2±6.71 -20.5±13.71 
アジルサルタン
40mg 
82 100.4±4.14 -14.3±9.92 159.2±7.04 -22.2±16.83 
カンデサルタン シレキセチル
8〜12mg 
82 101.0±4.40 -10.9±10.13b) 159.6±7.68 -18.3±15.88b) 

※ : LOCF法(Last observation carried forward法)
※※ : 参考として設定した群であり、統計学的な比較対照群ではない。
(1日1回8mgを4週間及び12mgを8週間、計12週間投与)
# :平均値±標準偏差
a)n=80、b)n=81


表3 二重盲検比較試験(検証試験)

投与群 トラフ時座位血圧(mmHg) トラフ時座位血圧(mmHg) トラフ時座位血圧(mmHg) トラフ時座位血圧(mmHg) 
 拡張期 拡張期 収縮期 収縮期 
 変化量# 群間差## 変化量# 群間差## 
投与8週時点     
アジルサルタン
20mg 
-11.0±8.87 -2.0
[-3.21,-0.69]
p=0.0024 
-19.9±14.30 -2.6
[-4.62,-0.60]
p=0.0109 
カンデサルタン シレキセチル8mg -9.0±7.43  -17.3±11.75  
投与16週時点(最終評価時)     
アジルサルタン
20〜40mg 
-12.4±9.87 -2.6
[-4.08,-1.22]
p=0.0003 
-21.8±15.30 -4.4
[-6.53,-2.20]
p<0.0001 
カンデサルタン シレキセチル8〜12mg -9.8±8.50  -17.5±12.69  

# : 平均値±標準偏差
## : 投与前の血漿中レニン活性区分及び投与群を独立変数とした二元配置分散分析
(各投与群の調整済み平均値の投与群間差の点推定値、[ ]は両側95%信頼区間)


薬効薬理

1. 作用機序
アジルサルタンはアンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体に結合してアンジオテンシンIIと拮抗し、主にその強力な血管収縮作用を抑制することによって生ずる末梢血管抵抗の低下により降圧作用を示す。

2. AT1受容体に対する阻害作用5)
ヒトAT1受容体の活性を濃度依存的に阻害し(IC50値:0.62〜2.6nmol/L)、AT1受容体からの解離は極めて緩やかであった(in vitro)。

3. レニン-アンジオテンシン系に及ぼす影響2)
健康成人(12例)にアジルサルタン20mgを1日1回7日間投与した時、血漿レニン活性、血漿アンジオテンシンI濃度及びアンジオテンシンII濃度の増加が認められた。

4. 降圧作用16)

(1)
高血圧自然発症ラット(SHR)に単回投与した時、24時間後まで降圧作用は持続した。

(2)
腎性高血圧(2K-1C)イヌに単回投与した時、24時間後まで降圧作用は持続した。

有効成分に関する理化学的知見

化学構造式

一般名

アジルサルタン(Azilsartan)〔JAN〕

化学名

2-Ethoxy-1-{[2´-(5-oxo-4,5-dihydro-1,2,4-oxadiazol-3-yl)biphenyl-4-yl]methyl}-1H-benzo[d]imidazole-7-carboxylic acid

分子式

C25H20N4O5

分子量

456.45

融点

190℃

性状

アジルサルタンは白色〜帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。N,N−ジメチルアセトアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。

包装

錠10mg : 100錠(10錠×10)、140錠(14錠×10)、500錠(10錠×50)

錠20mg : 100錠(10錠×10)、140錠(14錠×10)、500錠(バラ、10錠×50)、700錠(14錠×50)

錠40mg : 100錠(10錠×10)、140錠(14錠×10)、500錠(バラ、10錠×50)、700錠(14錠×50)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
アジルサルタンの薬物動態試験成績(1)(社内資料)

2)
アジルサルタンの薬物動態試験成績(2)(社内資料)

3)
アジルサルタンの薬物動態試験成績(3)(社内資料)

4)
アジルサルタンの蛋白結合に関する検討(社内資料)

5)
アジルサルタンの代謝に関する検討(社内資料)

6)
腎障害患者における薬物動態試験成績(社内資料)

7)
アジルサルタンの臨床試験成績(1)(社内資料)

8)
肝機能障害者における薬物動態試験成績(社内資料)

9)
アジルサルタンの薬物動態試験成績(4)(社内資料)

10)
フルコナゾールとの薬物相互作用試験成績(社内資料)

11)
アジルサルタンの臨床試験成績(2)(社内資料)

12)
アジルサルタンの臨床試験成績(3)(社内資料)

13)
アジルサルタンの臨床試験成績(4)(社内資料)

14)
アジルサルタンの臨床試験成績(5)(社内資料)

15)
アジルサルタンの臨床試験成績(6)(社内資料)

16)
アジルサルタンの降圧作用に関する検討(社内資料)

文献請求先・製品情報お問い合わせ先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。

武田薬品工業株式会社 医薬学術部 くすり相談室

〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目12番10号

フリーダイヤル 0120-566-587

受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
武田薬品工業株式会社

〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号