ハルナールD錠0.1mg/ ハルナールD錠0.2mg


作成又は改訂年月

**2014年4月改訂(第10版)

*2013年1月改訂

日本標準商品分類番号

87259

日本標準商品分類番号等

国際誕生年月
1993年7月

薬効分類名

前立腺肥大症の排尿障害改善剤

承認等

販売名
ハルナールD錠0.1mg

販売名コード

YJ(医情研)コード
2590008F1026

承認・許可番号

承認番号
21600AMZ00554
商標名
HarnalD Tablets 0.1mg

薬価基準収載年月

2005年6月

販売開始年月

2005年6月

貯法・使用期限等

貯法

気密容器、室温保存〔開封後は湿気を避けて保存すること。〕

使用期限

ケース等に表示(製造後3年)〔使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。〕

注意

【取扱い上の注意】の項参照

規制区分

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分(1錠中)

日局 タムスロシン塩酸塩 0.1mg

添加物

セルロース、ヒプロメロース、エチルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、セタノール、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、D-マンニトール、乳糖水和物、アメ粉、ステアリン酸カルシウム

性状

剤形

口腔内崩壊錠

白色

外形


外形


外形

側面

大きさ

直径
7.5mm

大きさ

厚さ
3.3mm

重量

0.12g

識別コード

HA0.1

販売名
ハルナールD錠0.2mg

販売名コード

YJ(医情研)コード
2590008F2022

承認・許可番号

承認番号
21600AMZ00555
商標名
HarnalD Tablets 0.2mg

薬価基準収載年月

2005年6月

販売開始年月

2005年6月

貯法・使用期限等

貯法

気密容器、室温保存〔開封後は湿気を避けて保存すること。〕

使用期限

ケース等に表示(製造後3年)〔使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。〕

注意

【取扱い上の注意】の項参照

規制区分

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分(1錠中)

日局 タムスロシン塩酸塩 0.2mg

添加物

セルロース、ヒプロメロース、エチルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、セタノール、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、D-マンニトール、乳糖水和物、アメ粉、ステアリン酸カルシウム

性状

剤形

口腔内崩壊錠

白色

外形


外形


外形

側面

大きさ

直径
8.5mm

大きさ

厚さ
4.2mm

重量

0.20g

識別コード

HA0.2

一般的名称

タムスロシン塩酸塩口腔内崩壊錠

Tamsulosin Hydrochloride

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

前立腺肥大症に伴う排尿障害

用法及び用量

通常、成人にはタムスロシン塩酸塩として0.2mgを1日1回食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
起立性低血圧のある患者[症状が悪化するおそれがある。]

2.
重篤な肝機能障害のある患者[血漿中濃度が上昇するおそれがある。]

3.
重篤な腎機能障害のある患者[血漿中濃度が上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]

4.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

5.
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を服用している患者(「相互作用」の項参照)

重要な基本的注意

1.
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込ませること。

2.
本剤の過剰投与により血圧低下が予想されるので、投与量には注意すること。

3.
立位血圧が低下することがあるので、体位変換による血圧変化に注意すること。

4.
本剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意し、本剤投与により期待する効果が得られない場合は、手術療法等、他の適切な処置を考慮すること。

5.
めまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。

6.
本剤投与開始時に降圧剤投与の有無について問診を行い、降圧剤が投与されている場合には血圧変化に注意し、血圧低下がみられたときには、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)

薬剤名等
降圧剤

臨床症状・措置方法
起立性低血圧が起こるおそれがあるので、減量するなど注意すること。

機序・危険因子
降圧剤服用中の患者は起立時の血圧調節力が低下している場合がある。

薬剤名等
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物等

臨床症状・措置方法
併用により症候性低血圧があらわれるとの報告がある。

機序・危険因子
本剤はα遮断作用を有するため、併用によりこれらの血管拡張作用による降圧作用を増強するおそれがある。

副作用

副作用等発現状況の概要

ハルナールカプセル承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例4,724例中、ハルナールカプセルとの関連が疑われる副作用(臨床検査値異常を含む)は104例(2.2%)に発現し、主なものはめまい、胃不快感等であった。(ハルナールカプセル再審査結果通知:2003年11月)

重大な副作用

1. 失神・意識喪失(頻度不明)
血圧低下に伴う一過性の意識喪失等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し適切な処置を行うこと。

2. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、黄疸等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

精神神経系
0.1〜5%未満 
めまい、ふらふら感

精神神経系
0.1%未満 
立ちくらみ、頭痛、眠気

精神神経系
頻度不明 
いらいら感、しびれ感

循環器
0.1%未満 
血圧低下、起立性低血圧、頻脈、動悸

循環器
頻度不明 
不整脈

*過敏症注)
0.1%未満 
そう痒感、発疹

*過敏症注)
頻度不明 
蕁麻疹、多形紅斑

消化器
0.1〜5%未満 
胃不快感

消化器
0.1%未満 
嘔気、嘔吐、口渇、便秘、胃重感、胃痛、食欲不振、下痢、嚥下障害

その他
0.1%未満 
鼻閉、浮腫、尿失禁、咽頭灼焼感、全身倦怠感

*その他
頻度不明 
味覚異常、女性化乳房、持続勃起症、射精障害、術中虹彩緊張低下症候群、霧視、視力障害、ほてり、熱感、灼熱感

その他の副作用の注意

注)投与を中止すること。

高齢者への投与

高齢者では腎機能が低下していることがあるので、腎機能が低下している場合は0.1mgから投与を開始し、経過を十分に観察した後に0.2mgに増量すること。0.2mgで期待する効果が得られない場合にはそれ以上の増量は行わず、他の適切な処置を行うこと。

適用上の注意

1. 薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

2. 服用時:

(1)
本剤は噛み砕かずに服用させること。[本剤はタムスロシン塩酸塩の徐放性粒を含有しており、噛み砕いた際に徐放性粒が壊れ、薬物動態が変わる可能性がある。]

(2)
本剤は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。

(3)
本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

その他の注意

(1)
α1遮断薬を服用中又は過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)があらわれるとの報告がある。

(2)
前立腺肥大症の診断・診療については、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考にすること。

薬物動態

1. 血漿中濃度
健康成人にハルナールD錠0.2mgあるいはハルナール0.2mgカプセルをそれぞれクロスオーバー法で単回経口投与した場合、タムスロシン塩酸塩の血漿中未変化体濃度は下記の図に示したとおりである1)。(「薬物動態の表」表1参照)

健康成人にハルナールカプセルを0.1〜0.6mg経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与後7〜8時間にピークを示し、半減期は9.0〜11.6時間であった2)。Cmax及びAUCは投与量にほぼ比例して上昇した。ハルナールカプセルを7日間連続経口投与したとき、半減期はやや延長したが、血漿中未変化体濃度推移は4日目で定常状態に達した3)。(「薬物動態の表」表2参照)

腎機能障害患者11名にハルナール0.2mgカプセルを経口投与したとき、血圧低下はみられなかったが、腎機能重度障害者の2名でタムスロシン塩酸塩の血漿中薬物濃度の上昇がみられた。この血漿中薬物濃度の上昇は、血漿中α1-AGP(α1酸性糖蛋白)との蛋白結合による可能性があり、血漿中薬物濃度とα1-AGP濃度の間には高い相関が認められた。
なお、タムスロシン塩酸塩の薬効あるいは副作用発現に直接関与すると考えられる非結合型薬物濃度は、血漿中α1-AGP濃度にかかわらず腎機能正常者のそれとほぼ同様であった4)

2. 代謝・排泄
健康成人にハルナールカプセルを0.1〜0.6mg経口投与したとき、投与後30時間までの未変化体の尿中排泄率は12〜14%とほぼ一定であった2)。また、連続経口投与したときも尿中排泄率に大きな変動は認められなかった3)
(注)本剤の承認された1日用量は、0.2mgである。なお、年齢、症状により適宜増減する。

3. 生物学的同等性
ヒトにハルナールD錠及びハルナールカプセルを経口投与した場合、それぞれの剤形で血漿中未変化体濃度の推移はほぼ同じであり、生物学的に同等である1)5)6)

薬物動態の表

表1

製剤 投与量 Cmax(ng/mL) AUCt(ng・h/mL) t1/2(h) Tmax(h) 
ハルナールD錠0.2mg 0.2mg 4.34±1.32 63.5±22.9 11.70±2.96 7.00±2.04 
ハルナール0.2mgカプセル 0.2mg 4.71±1.81 62.0±20.8 10.27±3.27 7.83±2.42 

表2 <ハルナールカプセルの臨床用量での値>

用量(mg) Tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h) 
0.1 7.0 3.2 11.6 
0.2 8.0 5.7 9.0 
0.4 7.0 15.6 10.8 
0.6 7.5 15.6 9.8 

(注)本剤の承認された1日用量は、0.2mgである。なお、年齢、症状により適宜増減する。


臨床成績

前立腺部の尿道内圧を有意に減少させ7)、用量依存的な尿流率及び残尿量の改善が認められた8)9)。全般改善度の解析対象276例の成績を次に示した。また、二重盲検比較試験の結果、ハルナール0.2mgカプセル1日1回投与において有用性が認められた10)。(「臨床成績の表」表3参照)

臨床成績の表

表3

投与方法 中等度改善以上 
0.1mg1日1回投与 28.3%(15/53) 
0.2mg1日1回投与 37.3%(62/166) 
0.4mg1日1回投与 38.6%(22/57) 

(注)本剤の承認された1日用量は、0.2mgである。なお、年齢、症状により適宜増減する。


薬効薬理

1. 薬理作用

(1) ヒトでの作用
ヒト前立腺標本での受容体結合実験において、プラゾシン塩酸塩より2.2倍、フェントラミンメシル酸塩より40倍強いα1受容体遮断作用を示した11)

(2) 動物での作用

1) 交感神経α受容体遮断作用12)13)
ラット脳膜標本での受容体結合実験及び摘出ウサギ大動脈標本での摘出実験において、α1受容体を選択的かつ競合的に遮断し、その作用はプラゾシン塩酸塩より1/2.2〜22倍、フェントラミンメシル酸塩より45〜140倍強力であった。なお、摘出ウサギ大動脈、摘出ラット輸精管及び摘出モルモット腸管での摘出実験において、本薬はα2受容体よりもα1受容体に対して5,400〜24,000倍の選択性を示した。

2) 下部尿路(尿道・膀胱)及び前立腺に対する作用14)〜16)
摘出ウサギ尿道、前立腺及び膀胱基部平滑筋標本での摘出実験において、プラゾシン塩酸塩より23〜98倍、フェントラミンメシル酸塩より87〜320倍強いα1受容体遮断作用を示した。
また、麻酔イヌにおいて、α1受容体刺激薬による尿道内圧上昇を拡張期血圧上昇よりも13倍強く抑制した。

3) 排尿障害改善作用17)
麻酔雄性イヌにおいて、尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させた。一方、麻酔ラットにおいて、律動的膀胱収縮及び膀胱内圧曲線に影響を及ぼさなかった。

2. 作用機序
尿道及び前立腺部のα1受容体を遮断することにより、尿道内圧曲線の前立腺部圧を低下させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
タムスロシン塩酸塩(Tamsulosin Hydrochloride)

化学名
5-{(2R )-2-[2-(2-Ethoxyphenoxy)ethylamino]propyl}-2-methoxybenzenesulfonamide monohydrochloride

構造式

分子式
C20H28N2O5S・HCl

分子量
444.97

融点
約230℃(分解)

性状
タムスロシン塩酸塩は白色の結晶である。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けにくく、酢酸(100)に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。

取扱い上の注意

注意:
本品は高防湿性の内袋により品質保持をはかっている。

包装

D錠 0.1mg :140錠(14錠×10)

D錠 0.2mg :140錠(14錠×10)

D錠 0.2mg :300錠(バラ)

D錠 0.2mg :560錠(14錠×40)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
横山 修 他:薬理と治療 33(6):521,2005[HA-05486]

2)
角尾道夫 他:臨床医薬 6(12):2529,1990[HA-0011]

3)
角尾道夫 他:臨床医薬 7(1):63,1991[HA-0012]

4)
Koiso,K.et al.:J.Clin.Pharmacol. 36(11):1029,1996[HA-00314]

5)
横山 修 他:薬理と治療 33(6):535,2005[HA-05485]

6)
横山 修 他:薬理と治療 33(6):527,2005[HA-05483]

7)
Kawachi,Y.:Curr.Ther.Res. 59(3):149,1998[HA-04828]

8)
河邉香月 他:泌尿器外科 3(10):1247,1990[HA-0027]

9)
Kawabe,K.et al.:J.Urol. 144(4):908,1990[HA-0038]

10)
河邉香月 他:泌尿器外科 4(2):231,1991[HA-0026]

11)
Yamada,S.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther. 242(1):326,1987[HA-0003]

12)
Honda,K.et al.:Naunyn-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 328(3):264,1985[HA-0036]

13)
Honda,K.et al.:Naunyn-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 336(3):295,1987[HA-0035]

14)
Honda,K.et al.:J.Pharmacol.Exp.Ther. 239(2):512,1986[HA-0006]

15)
Honda,K.et al.:Naunyn-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 330(1):16,1985[HA-0004]

16)
Shibasaki,M.et al.:J.Auton.Pharmacol. 12(4):263,1992[HA-0037]

17)
Sudoh,K.et al.:Jpn.J.Pharmacol. 52(S-1):131,1990[HA-0042]

文献請求先・製品情報お問い合わせ先

アステラス製薬株式会社 営業本部DIセンター

**〒103-8411 東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号

0120-189-371

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製造販売
アステラス製薬株式会社

**東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号