ベタニス錠25mg/ ベタニス錠50mg


作成又は改訂年月

**2014年4月改訂(第7版)

*2013年9月改訂

日本標準商品分類番号

87259

日本標準商品分類番号等

国際誕生年月
2011年7月

薬効分類名

選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤

承認等

販売名
ベタニス錠25mg

販売名コード

YJ(医情研)コード
2590014F1021

承認・許可番号

承認番号
22300AMX00592
商標名
Betanis Tablets 25mg

薬価基準収載年月

2011年9月

販売開始年月

2011年9月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存〔開封後は湿気を避けて保存すること。〕

使用期限

ケース等に表示(製造後3年)〔使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。〕

注意

【取扱い上の注意】の項参照

規制区分

劇薬

処方せん医薬品

注意−医師等の処方せんにより使用すること

組成

有効成分(1錠中)

ミラベグロン 25mg

添加物

ポリエチレンオキシド、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄

性状

剤形

フィルムコーティング錠

褐色

外形


外形


外形

側面

大きさ

直径
長径
約12.1mm

大きさ

直径
短径
約6.1mm

大きさ

厚さ
約5.2mm

重量

約0.258g

販売名
ベタニス錠50mg

販売名コード

YJ(医情研)コード
2590014F2028

承認・許可番号

承認番号
22300AMX00593
商標名
Betanis Tablets 50mg

薬価基準収載年月

2011年9月

販売開始年月

2011年9月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存〔開封後は湿気を避けて保存すること。〕

使用期限

ケース等に表示(製造後3年)〔使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。〕

注意

【取扱い上の注意】の項参照

規制区分

劇薬

処方せん医薬品

注意−医師等の処方せんにより使用すること

組成

有効成分(1錠中)

ミラベグロン 50mg

添加物

ポリエチレンオキシド、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、黄色三二酸化鉄

性状

剤形

フィルムコーティング錠

黄色

外形


外形


外形

側面

大きさ

直径
長径
約12.1mm

大きさ

直径
短径
約6.1mm

大きさ

厚さ
約5.2mm

重量

約0.258g

一般的名称

ミラベグロン錠

Mirabegron

警告

生殖可能な年齢の患者への本剤の投与はできる限り避けること。[動物実験(ラット)で、精嚢、前立腺及び子宮の重量低値あるいは萎縮等の生殖器系への影響が認められ、高用量では発情休止期の延長、黄体数の減少に伴う着床数及び生存胎児数の減少が認められている。]

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.
重篤な心疾患を有する患者[心拍数増加等が報告されており、症状が悪化するおそれがある。]

3.
妊婦及び妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

4.
授乳婦[動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。また、授乳期に本薬を母動物に投与した場合、出生児で生存率の低値及び体重増加抑制が認められている。(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)]

5.
重度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア10以上)[血中濃度が過度に上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]

6.
フレカイニド酢酸塩あるいはプロパフェノン塩酸塩投与中の患者(「相互作用」の項参照)

効能又は効果

過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

効能又は効果に関連する使用上の注意

本剤を適用する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌などの下部尿路における新生物等)があることに留意し、尿検査等により除外診断を実施すること。なお、必要に応じて専門的な検査も考慮すること。

用法及び用量

通常、成人にはミラベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
中等度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア7〜9)への投与は1日1回25mgから開始する。[肝機能障害患者では血中濃度が上昇すると予想される。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)]

2.
重度の腎機能障害患者(eGFR15〜29mL/min/1.73m2)への投与は1日1回25mgから開始する。[腎機能障害患者では血中濃度が上昇すると予想される。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)]

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
クラスIA(キニジン、プロカインアミド等)又はクラスIII(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈薬を投与中の患者を含むQT延長症候群患者(「重要な基本的注意」の項参照)

2.
重度の徐脈等の不整脈、急性心筋虚血等の不整脈を起こしやすい患者[心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。]

3.
低カリウム血症のある患者[心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。]

4.
肝機能障害患者(重度を除く)及び腎機能障害患者[血中濃度が上昇するおそれがある。]

5.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

6.
緑内障の患者[眼圧の上昇を招き、症状を悪化させるおそれがある。]

重要な基本的注意

1.
本剤投与によりQT延長を生じるおそれのあることから、心血管系障害を有する患者に対しては、本剤の投与を開始する前に心電図検査を実施するなどし、心血管系の状態に注意をはらうこと。

2.
QT延長又は不整脈の既往歴を有する患者、及びクラスIA(キニジン、プロカインアミド等)又はクラスIII(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈薬等QT延長を来すことが知られている薬剤を本剤と併用投与する患者等、QT延長を来すリスクが高いと考えられる患者に対しては、定期的に心電図検査を行うこと。

3.
現時点では、過活動膀胱の適応を有する抗コリン剤と併用した際の安全性及び臨床効果が確認されていないため併用は避けることが望ましい。

4.
下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、それに対する治療(α1遮断薬等)を優先させること。

5.
緑内障患者に本剤を投与する場合には、定期的な眼科的診察を行うこと。

6.
現時点では、ステロイド合成・代謝系への作用を有する5α還元酵素阻害薬と併用した際の安全性及び臨床効果が確認されていないため併用は避けることが望ましい。

相互作用

相互作用の概略

本剤は、一部が薬物代謝酵素CYP3A4により代謝され、CYP2D6を阻害する。また、P-糖蛋白阻害作用を有する。(「薬物動態」の項参照)

併用禁忌

(併用しないこと)

薬剤名等
フレカイニド酢酸塩(タンボコール)
プロパフェノン塩酸塩(プロノン、ソビラール)

臨床症状・措置方法
QT延長、心室性不整脈(Torsades de Pointesを含む)等を起こすおそれがある。

機序・危険因子
ともに催不整脈作用があり、また本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

併用注意

(併用に注意すること)

薬剤名等
カテコールアミン
アドレナリン、イソプレナリン等

臨床症状・措置方法
頻脈、心室細動発現の危険性が増大する。

機序・危険因子
カテコールアミンの併用によりアドレナリン作動性神経刺激の増大が起こる。

薬剤名等
イトラコナゾール、リトナビル、アタザナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、クラリスロマイシン、テリスロマイシン

臨床症状・措置方法
心拍数増加等があらわれるおそれがある。

機序・危険因子
これらの薬剤はCYP3A4を強く阻害し、また一部の薬剤はP-糖蛋白の阻害作用も有することから、併用により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

薬剤名等
リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン

臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱する可能性がある。

機序・危険因子
これらの薬剤はCYP3A4及びP-糖蛋白を誘導し、併用により本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

薬剤名等
CYP2D6の基質
デキストロメトルファン
フェノチアジン系抗精神病剤
ペルフェナジン
ドネペジル等

臨床症状・措置方法
これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇するおそれがあり、これらの薬剤の作用を増強するおそれがある。

機序・危険因子
本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。

薬剤名等
三環系抗うつ剤
アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩等

臨床症状・措置方法
類薬であるデシプラミンとの併用によりデシプラミンのAUCが3.41倍に上昇したとの報告があり、これらの薬剤の作用を増強するおそれがある。

機序・危険因子
本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。

薬剤名等
メトプロロール

臨床症状・措置方法
本剤とメトプロロールとの併用によりメトプロロールのAUCが3.29倍上昇したとの報告があり、メトプロロールの作用を増強するおそれがある。

機序・危険因子
本剤のCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。

薬剤名等
ピモジド

臨床症状・措置方法
QT延長、心室性不整脈(Torsades de Pointesを含む)等を起こすおそれがある。

機序・危険因子
本剤のCYP2D6阻害作用により、ピモジドの血中濃度が上昇する可能性があり、かつ本剤及びピモジドがともに催不整脈作用を有する。

薬剤名等
ジゴキシン

臨床症状・措置方法
ジゴキシンの血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には、ジゴキシンの血中濃度をモニタリングすることが望ましい。

機序・危険因子
本剤のP-糖蛋白阻害作用により、ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

副作用等発現状況の概要

国内で過活動膀胱患者を対象に安全性を評価した総症例数1,207例中、臨床検査値異常を含む副作用発現症例は313例(25.9%)で、主なものはγ-GTP上昇45例(3.7%)、便秘35例(2.9%)、CK(CPK)上昇31例(2.6%)、Al-P上昇30例(2.5%)、口内乾燥21例(1.7%)、ALT(GPT)上昇21例(1.7%)、AST(GOT)上昇19例(1.6%)、尿中蛋白陽性17例(1.4%)、白血球数減少15例(1.2%)であった。(承認時:2011年7月)

重大な副作用

尿閉(頻度不明)
尿閉があらわれることがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

血液及びリンパ系障害
1〜5%未満 
白血球数減少

血液及びリンパ系障害
1%未満 
血小板数増加、白血球数増加、血小板数減少

心臓障害
1%未満 
右脚ブロック、動悸、上室性期外収縮、頻脈、心室性期外収縮、血圧上昇、心拍数増加

耳及び迷路障害
1%未満 
回転性めまい

胃腸障害
1〜5%未満 
便秘、口内乾燥

胃腸障害
1%未満 
腹部不快感、腹部膨満、下痢、十二指腸潰瘍、胃炎、口内炎

胃腸障害
頻度不明 
悪心、嘔吐

全身障害及び投与局所様態
1%未満 
倦怠感、浮腫、口渇

全身障害及び投与局所様態
頻度不明 
胸部不快感、胸痛

肝胆道系障害
1〜5%未満 
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇

肝胆道系障害
1%未満 
ビリルビン上昇

感染症
1%未満 
膀胱炎、尿沈渣異常

代謝及び栄養障害
1〜5%未満 
CK(CPK)上昇

代謝及び栄養障害
1%未満 
CK(CPK)減少、血中ブドウ糖増加、血中ブドウ糖減少、コレステロール上昇、尿酸上昇

神経系障害
1%未満 
浮動性めまい、頭痛

腎及び尿路障害
1〜5%未満 
尿中蛋白陽性

腎及び尿路障害
1%未満 
尿中ブドウ糖陽性、クレアチニン上昇、BUN上昇、BUN減少、残尿

皮膚及び皮下組織障害
1%未満 
発疹、蕁麻疹

血管障害
1%未満 
高血圧

高齢者への投与

副作用発現に留意し、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。[高齢者では肝機能、腎機能が低下していることが多い。(「慎重投与」及び<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1. 妊婦等:
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット、ウサギ)で、胎児において着床後死亡率の増加、体重低値、肩甲骨等の屈曲及び波状肋骨の増加、骨化遅延(胸骨分節、中手骨、中節骨等の骨化数低値)、大動脈の拡張及び巨心の増加、肺副葉欠損が認められている。]

2. 授乳婦:
授乳中の婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。また、授乳期に本薬を母動物に投与した場合、出生児で生存率の低値及び体重増加抑制が認められている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)

適用上の注意

1. 薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

2. 服用時:
本剤は徐放性製剤であるため、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう指導すること。[割ったり、砕いたり、すりつぶしたりして服用すると、本剤の徐放性が失われ、薬物動態が変わるおそれがある。]

薬物動態

1. 健康成人

(1) 血中濃度

1) 単回投与
健康成人男性に本剤を空腹時単回経口投与したときのCmax及びAUCinfは、用量比を超えて上昇した。Tmax及びt1/2は各用量間でほぼ一定であった1)。(「薬物動態の表」表1参照)

2) 反復投与
健康成人男性に本剤100mg及び200mgを1日1回食後7日間反復投与したときの血漿中濃度は、投与開始後第4日目以降トラフ値はほぼ一定となり、7日以内に定常状態に達した。また、AUC24hは反復投与により、1.75〜2.12倍上昇することが示唆された1)。(「薬物動態の表」表2参照)

(2) 吸収
本剤25mg、50mg及び100mgを単回経口投与したときの絶対バイオアべイラビリティはそれぞれ28.9%、35.4%及び45.0%であった2)。(外国人データ)高脂肪食食後に投与したときに比べ空腹時投与で本剤血漿中濃度が高くなり、本剤50mg及び100mgを空腹時に投与したときのCmaxは2.11倍及び1.95倍に増加した。AUClastは1.47倍及び1.40倍に増加した3)。また、本剤はP-糖蛋白の基質である(in vitro試験)。

(3) 分布
ミラベグロン15mgを静脈内単回投与したときの分布容積は1643Lであった2)。(外国人データ)血漿蛋白結合率は76.3〜76.9%であり、主結合蛋白はアルブミンであった(in vitro試験)。

(4) 代謝
本剤は主としてエステラーゼによって加水分解を受け、一部はCYP及びグルクロン酸抱合酵素によっても代謝される。本剤を経口投与後、未変化体の他に8種の代謝物が血漿中に認められたが、代謝物の濃度はいずれも未変化体に比べ顕著に低かった4)。また、いずれの代謝物も薬理活性は弱かったことから、薬効への寄与は低いと考えられた。本剤はCYP2D6に対して中等度の阻害作用を示すことが示されたが、その他のCYP分子種に対しては阻害作用は弱かった。また、本剤は、CYP1A2及び3A4/5に対して誘導作用を示さなかった(in vitro試験)。

(5) 排泄
14Cで標識したミラベグロン溶液160mgを投与したマスバランス試験の結果、投与放射能の55%が尿中に、34%が糞中に排泄され、呼気中には排泄されなかった。尿中放射能の45%が未変化体であり、糞中では放射能のほとんどが未変化体であった5)
健康成人男性に本剤を絶食下単回経口投与したときの尿中排泄率は用量増加に伴い上昇する傾向が認められた1)。(「薬物動態の表」表3参照)

2. 性差(外国人データ)
非高齢及び高齢外国健康成人男女に本剤25mg、50mg及び100mgを反復投与したときのCmax及びAUCtauは、男女間で差が認められ、男性被験者に比べ女性被験者で1.44倍及び1.38倍の高い値を示した4)

3. 高齢者
55〜77歳の外国健康成人に本剤25mg、50mg及び100mgを反復投与したときのCmax及びAUCtauは、18〜45歳の外国健康成人と比べて差は認められなかった4)。(外国人データ)
日本人過活動膀胱患者に本剤50mgを1日1回投与したときの血漿中濃度は、65歳未満より65歳以上の患者集団で1.32倍に増加した6)

4. 腎機能障害患者(外国人データ)
軽度の腎機能障害(eGFR60〜89mL/min/1.73m2)を持つ患者では、健康成人と比べて本剤100mg投与時のCmax及びAUCinfがそれぞれ1.06倍及び1.31倍高かった。中等度の腎機能障害(eGFR30〜59mL/min/1.73m2)を持つ患者では、健康成人と比べてCmax及びAUCinfが1.23倍及び1.66倍高かった。重度の腎機能障害(eGFR15〜29mL/min/1.73m2)を持つ患者では、健康成人と比べてCmax及びAUCinfが1.92倍及び2.18倍高かった7)

5. 肝機能障害患者(外国人データ)
軽度の肝機能障害(Child-Pughスコア5〜6)を持つ患者では、本剤100mg投与時のCmax及びAUCinfは健康成人に比べてそれぞれ1.09倍及び1.19倍高かった。中等度の肝機能障害(Child-Pughスコア7〜9)を持つ患者では、本剤100mg投与時のCmax及びAUCinfは健康成人に比べてそれぞれ2.75倍及び1.65倍高かった8)

6. 相互作用(外国人データ)

(1) ケトコナゾール
本剤100mgとケトコナゾール400mgと併用したとき、本剤のAUCinfは1.81倍に上昇した9)

(2) リファンピシン
本剤100mgとリファンピシン600mgと併用したとき、本剤のAUCinfは0.56倍に減少した10)

(3) メトプロロール
ミラベグロン160mg(IRカプセル)とメトプロロール100mgと併用したとき、メトプロロールのAUCinfは3.29倍に上昇した11)

(4) デシプラミン
本剤100mgとデシプラミン50mgと併用したとき、デシプラミンのAUCinfは併用により3.41倍に上昇した12)

(5) ジゴキシン
本剤100mgとジゴキシン0.25mgと併用したとき、ジゴキシンのAUClastは併用により1.27倍に上昇した13)

7. QT/QTc評価試験14)15)(外国人データ)
外国健康成人男女(48例)を対象に、QT/QTc評価試験を実施した結果、女性被験者のQTcは本剤100mg及び200mg投与時に延長する傾向が認められた。外国健康成人男女(352例)を対象に、QT/QTc評価試験(追加試験)を実施した結果、200mg投与において女性被験者で延長する傾向が認められた。(「薬物動態の表」表4、表5参照)

薬物動態の表

表1 単回投与時のパラメータ

投与量
(mg) 
Cmax
(ng/mL) 
Tmax
(h) 
AUCinf
(ng・h/mL) 
t1/2
(h) 
CL/F
(L/h) 
50 31.01
±18.06 
3.5
±1.4 
292.24
±76.93 
36.4
±11.8 
183.49
±58.11 
100 130.67
±43.79 
3.3
±0.8 
882.40
±234.53 
30.8
±3.4 
119.34
±28.11 
200 164.51
±82.99 
2.8
±1.3 
1382.68
±441.45 
26.4
±3.6 
157.61
±50.64 
300 548.52
±92.50 
3.7
±1.0 
3285.08
±333.94 
25.1
±4.3 
92.24
±10.89 
400 720.14
±264.40 
4.0
±1.3 
4142.50
±735.89 
23.9
±4.9 
99.79
±22.03 

(平均値±標準偏差、n=6)
※:投与後72時間までの測定可能な時点までの実測値に基づいた値


表2 反復投与時のパラメータ

投与量
(mg) 
評価日
(日) 
Cmax
(ng/mL) 
Tmax
(h) 
AUC24h
(ng・h/mL) 
t1/2
(h) 
CL/F
(L/h) 
100 91.23±42.00 4.8±0.5 377.16±90.67 28.8±6.8 167.16
±31.36 
100 10 136.14±52.52 5.0±0.0 792.75±156.88 30.0±4.4 131.76
±33.39 
200 313.08±77.57 5.0±0.0 1102.22±284.28 27.4±7.7 127.95
±27.23 
200 10 290.94±90.64 5.0±0.5 1909.36±366.20 28.0±1.8 108.03
±19.75 

(平均値±標準偏差、n=8)


表3 ミラベグロン単回投与時の72時間までの尿中未変化体排泄率

投与量(mg) Ae72h% 
50 7.20±2.32  
100 7.61±3.62   
200 9.01±2.66   
300 14.57±2.48 
400 11.81±2.55 

(平均値±標準偏差、n=6)


表4 定常状態におけるQT間隔のベースラインからの変化量(プラセボとの差)

薬剤 性別 投与後経過時間
(h) 
QTc※※
(ms) 
90%信頼区間:下限 90%信頼区間:上限 
ミラベグロン 100mg 男性 4.21 1.57 6.86 
ミラベグロン 100mg 女性 7.48 4.50 10.46 
ミラベグロン 200mg 男性 6.62 3.97 9.27 
ミラベグロン 200mg 女性 15.05 12.08 18.01 
モキシフロキサシン400mg 男性 10.36 7.71 13.01 
モキシフロキサシン400mg 女性 13.10 10.16 16.04 

※:評価時点の中で90%信頼区間上限が最も大きな値を示した時点
※※:被験者毎の補正係数を用い心拍数により補正したQTcの推定値


表5 定常状態におけるQT間隔のベースラインからの変化量(プラセボとの差)(追加試験)

薬剤 性別 投与後経過時間
(h) 
QTc※※
(ms) 
90%信頼区間:下限 90%信頼区間:上限 
ミラベグロン 50mg 男性 2.96 0.92 5.00 
ミラベグロン 50mg 女性 3.5 4.49 2.17 6.81 
ミラベグロン 100mg 男性 4.63 2.81 6.45 
ミラベグロン 100mg 女性 7.70 5.68 9.72 
ミラベグロン 200mg 男性 7.33 5.23 9.42 
ミラベグロン 200mg 女性 10.42 7.40 13.44 
モキシフロキサシン400mg 男性 4.5 9.60 7.84 11.35 
モキシフロキサシン400mg 女性 9.54 7.22 11.85 

※:評価時点の中で90%信頼区間上限が最も大きな値を示した時点
※※:被験者毎の補正係数を用い心拍数により補正したQTcの推定値


臨床成績

1. 二重盲検比較試験(国内第II相試験)16)
過活動膀胱患者を対象に本剤25mg、50mg、100mg又はプラセボを、1日1回食後に12週間経口投与したときの主要評価項目である24時間あたりの平均排尿回数の変化量及び副次的評価項目である24時間あたりの平均尿意切迫感回数の変化量、24時間あたりの平均尿失禁回数の変化量、24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数の変化量の成績を次に示した。二重盲検比較試験の結果、主要評価項目である24時間あたりの平均排尿回数の変化量は本剤のいずれの投与量でもプラセボに比べ有意な改善が認められた。(「臨床成績の表」表6、表7、表8、表9参照)
(注)本剤の承認された用法・用量は、通常1日1回50mgである。

2. 二重盲検比較試験(国内第III相試験)6)
過活動膀胱患者を対象に本剤50mg又はプラセボを、1日1回食後に12週間経口投与したときの主要評価項目である24時間あたりの平均排尿回数の変化量及び副次的評価項目である24時間あたりの平均尿意切迫感回数の変化量、24時間あたりの平均尿失禁回数の変化量、24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数の変化量の成績を次に示した。二重盲検比較試験の結果、いずれの評価項目でもプラセボに比べ有意な改善が認められた。(「臨床成績の表」表10、表11、表12、表13参照)

3. 長期投与試験17)
過活動膀胱患者を対象に本剤50mgを1日1回食後に52週間経口投与した。また、本剤50mgを8週間投与した後、治験担当医師が効果不十分で安全性に問題なしと判断し、被験者も増量を希望した場合、100mgへ増量することを可能とした。最終評価時の24時間あたりの平均排尿回数の変化量、24時間あたりの平均尿意切迫感回数の変化量、24時間あたりの平均尿失禁回数の変化量、24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数の変化量の成績を次に示した。いずれの評価項目でも本剤50mg維持例及び100mg増量例ともに改善が認められ、最終評価時まで減弱することなく維持された。(「臨床成績の表」表14、表15、表16、表17参照)
(注)本剤の承認された用法・用量は、通常1日1回50mgである。

臨床成績の表

表6 最終評価時の24時間あたりの平均排尿回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 211 11.17±2.526 -1.18±2.155 ― 
ミラベグロン 25mg 209 11.47±2.835 -1.94±2.158 P<0.001 
ミラベグロン 50mg 208 11.77±2.606 -2.12±2.383 P<0.001 
ミラベグロン 100mg 207 11.20±2.761 -1.97±1.970 P<0.001 

(平均値±標準偏差)
※:Williamsの多重比較法、有意水準片側0.025


表7 最終評価時の24時間あたりの平均尿意切迫感回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 211 4.57±3.160 -1.83±2.965 ― 
ミラベグロン 25mg 208 4.68±3.209 -2.15±2.731 ※※ 
ミラベグロン 50mg 208 4.84±3.255 -2.24±3.120 P=0.084 
ミラベグロン 100mg 207 4.53±3.093 -2.48±2.605 P=0.011 

(平均値±標準偏差)
※:Williamsの多重比較法、有意水準片側0.025
※※:Williamsの多重比較法のため、検定対象外


表8 最終評価時の24時間あたりの平均尿失禁回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 140 1.68±1.471 -0.64±1.360 ― 
ミラベグロン 25mg 134 2.20±2.499 -1.29±1.938 P<0.001 
ミラベグロン 50mg 144 2.00±2.228 -1.20±1.455 P<0.001 
ミラベグロン 100mg 150 1.86±1.666 -1.28±1.355 P<0.001 

(平均値±標準偏差)
※:Williamsの多重比較法、有意水準片側0.025


表9 最終評価時の24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 132 1.55±1.376 -0.68±1.358 ― 
ミラベグロン 25mg 128 1.97±2.378 -1.14±1.809 P=0.006 
ミラベグロン 50mg 137 1.82±2.098 -1.09±1.345 P=0.008 
ミラベグロン 100mg 142 1.77±1.640 -1.24±1.278 P<0.001 

(平均値±標準偏差)
※:Williamsの多重比較法、有意水準片側0.025


表10 最終評価時の24時間あたりの平均排尿回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 368 11.29±2.748 -0.86±2.354 ― 
ミラベグロン 50mg 369 11.15±2.650 -1.67±2.212 P<0.001 

(平均値±標準偏差)
※:t 検定、有意水準両側0.05


表11 最終評価時の24時間あたりの平均尿意切迫感回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 368 4.42±2.989 -1.37±3.191 ― 
ミラベグロン 50mg 369 4.27±2.848 -1.85±2.555 P=0.025 

(平均値±標準偏差)
※:t 検定、有意水準両側0.05


表12 最終評価時の24時間あたりの平均尿失禁回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 264 1.91±1.760 -0.66±1.861 ― 
ミラベグロン 50mg 266 1.99±2.054 -1.12±1.475 P=0.003 

(平均値±標準偏差)
※:Wilcoxonの順位和検定、有意水準両側0.05


表13 最終評価時の24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 プラセボとの比較 
プラセボ 258 1.67±1.366 -0.60±1.745 ― 
ミラベグロン 50mg 254 1.78±1.752 -1.01±1.338 P=0.008 

(平均値±標準偏差)
※:Wilcoxonの順位和検定、有意水準両側0.05


表14 最終評価時の24時間あたりの平均排尿回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 
ミラベグロン 50mg維持例 146 11.11±2.600 -2.16±2.673 
ミラベグロン 100mg増量例 50 11.27±2.702 -1.57±2.341 

(平均値±標準偏差)


表15 最終評価時の24時間あたりの平均尿意切迫感回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 
ミラベグロン 50mg維持例 146 4.79±2.993 -3.31±2.948 
ミラベグロン 100mg増量例 50 5.43±3.512 -2.72±2.884 

(平均値±標準偏差)


表16 最終評価時の24時間あたりの平均尿失禁回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 
ミラベグロン 50mg維持例 104 1.95±1.632 -1.30±1.400 
ミラベグロン 100mg増量例 45 2.40±2.259 -1.56±2.143 

(平均値±標準偏差)


表17 最終評価時の24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数変化量

投与群 症例数 投与前 変化量 
ミラベグロン 50mg維持例 103 1.79±1.581 -1.32±1.401 
ミラベグロン 100mg増量例 44 2.11±2.076 -1.33±1.909 

(平均値±標準偏差)


薬効薬理

1. β3アドレナリン受容体に対する刺激作用18)
ヒトβ3アドレナリン受容体を発現させた細胞において、濃度依存的な細胞内cAMP濃度上昇作用を示した。ヒトβ1及びβ2アドレナリン受容体を発現させた細胞においては、細胞内cAMP濃度上昇作用をほとんど示さなかった。

2. 膀胱弛緩作用
ラット摘出膀胱において、組織内cAMP濃度上昇作用を示した19)。カルバコールにより持続性収縮を惹起させたラット及びヒト摘出膀胱において弛緩作用を示した20)21)

3. 膀胱内圧に対する作用
麻酔ラットにおいて、静止時膀胱内圧低下作用を示した22)

4. 膀胱機能に対する作用
無麻酔カニクイザルにおいて、平均一回排尿量増加作用及び排尿回数減少作用を示した23)。また、無麻酔脳梗塞ラットにおいて、平均一回排尿量増加作用を示した24)

5. 作用機序
膀胱平滑筋のβ3アドレナリン受容体を刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ミラベグロン(Mirabegron)

化学名
2-(2-Amino-1,3-thiazol-4-yl)-N -[4-(2-{[(2R )-2-hydroxy-2-phenylethyl]
amino}ethyl)phenyl]acetamide

構造式

分子式
C21H24N4O2S

分子量
396.51

融点
約144℃

性状
ミラベグロンは白色〜微帯褐白色の結晶又は粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。

取扱い上の注意

注意:
本品は高防湿性の内袋により品質保持をはかっている。

包装

錠25mg:100錠(10錠×10)

錠50mg:100錠(10錠×10)

錠50mg:500錠(10錠×50)

*錠50mg:500錠(バラ)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
社内報告書(健康成人・第I相単回及び反復投与試験)(DIR110060)

2)
社内報告書(健康成人・IVIVC試験)(DIR110061)

3)
社内報告書(健康成人・食事の影響試験)(DIR110062)

4)
社内報告書(外国人健康非高齢、高齢男女・性差及び高齢者試験)(DIR110063)

5)
社内報告書(健康成人・マスバランス試験)(DIR110064)

6)
社内報告書(過活動膀胱患者・第III相二重盲検比較試験)(DIR110065)

7)
社内報告書(腎機能障害患者・薬物動態試験)(DIR110066)

8)
社内報告書(肝機能障害患者・薬物動態試験)(DIR110067)

9)
社内報告書(海外健康成人・薬物相互作用試験)(DIR110068)

10)
社内報告書(海外健康成人・薬物相互作用試験)(DIR110069)

11)
社内報告書(海外健康成人・薬物相互作用試験)(DIR110070)

12)
社内報告書(海外健康成人・薬物相互作用試験)(DIR110071)

13)
社内報告書(海外健康成人・薬物相互作用試験)(DIR110072)

14)
社内報告書(海外健康成人・QT/QTc試験)(DIR110073)

15)
社内報告書(海外健康成人・QT/QTc試験2)(DIR110074)

16)
社内報告書(過活動膀胱患者・第II相二重盲検比較試験)(DIR110075)

17)
社内報告書(過活動膀胱患者・長期投与試験)(DIR110076)

18)
社内報告書(ヒトβアドレナリン受容体刺激・薬理試験)(DIR110077)

19)
社内報告書(ラット摘出膀胱組織内cAMP濃度・薬理試験)(DIR110078)

20)
社内報告書(ラット摘出膀胱弛緩・薬理試験)(DIR110079)

21)
Takasu, T. et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther. 321(2):642, 2007[BE-00010]

22)
社内報告書(ラット膀胱内圧・薬理試験)(DIR110080)

23)
社内報告書(カニクイザル膀胱機能・薬理試験)(DIR110081)

24)
社内報告書(ラット過活動膀胱モデル・薬理試験)(DIR110082)

文献請求先・製品情報お問い合わせ先

主要文献に記載の社内報告書につきましても下記にご請求下さい。

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