ジフラール軟膏 0.05%/ ジフラールクリーム 0.05%


作成又は改訂年月

**2014年4月改訂(第8版)

*2009年11月改訂(薬事法改正に伴う改訂)

日本標準商品分類番号

872646

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
1992年6月

薬効分類名

外用合成副腎皮質ホルモン剤

承認等

販売名
ジフラール軟膏 0.05%

販売名コード

YJ(医情研)コード
2646723M1156

承認・許可番号

承認番号
22000AMX02132
商標名
Diflal Ointment 0.05%

薬価基準収載年月

2008年12月

販売開始年月

1985年9月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

ケース等に表示(製造後3年)

組成

有効成分(1g中)

ジフロラゾン酢酸エステル 0.5mg

添加物

プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、無水クエン酸、白色ワセリン

性状

剤形

軟膏

色・形状

白色ワセリンを主体とした基剤よりなり、白色でにおいはない。

販売名
ジフラールクリーム 0.05%

販売名コード

YJ(医情研)コード
2646723N1135

承認・許可番号

承認番号
22000AMX02131
商標名
Diflal Cream 0.05%

薬価基準収載年月

2008年12月

販売開始年月

1985年9月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

ケース等に表示(製造後3年)

組成

有効成分(1g中)

ジフロラゾン酢酸エステル 0.5mg

添加物

プロピレングリコール、流動パラフィン、ステアリルアルコール、セタノール、ポリソルベート60、モノステアリン酸ソルビタン、pH調節剤

性状

剤形

クリーム

色・形状

白色のクリーム状で、においはない。

一般的名称

ジフロラゾン酢酸エステル製剤

Diflorasone Diacetate

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

(次の患者には使用しないこと)

1.
細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)の患者[免疫機能を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]

2.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3.
鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の患者[穿孔の治癒障害を起こすおそれがある。]

4.
潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷のある患者[創傷修復を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]

効能又は効果

湿疹・皮膚炎群(ビダール苔癬、進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎を含む)、乾癬、痒疹群(ストロフルス、じん麻疹様苔癬、固定じん麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、紅皮症、薬疹・中毒疹、虫さされ、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎を含む)、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、皮膚アミロイドーシス(アミロイド苔癬、斑状型アミロイド苔癬を含む)、天疱瘡群、類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)、円形脱毛症。

用法及び用量

通常1日1〜数回適量を患部に塗布する。

使用上の注意

慎重使用

(次の患者には慎重に投与すること)

(次の部位には慎重に使用すること)

顔面・頸・陰部・間擦部[局所的副作用が発現しやすい。(「重要な基本的注意」 (2)の項参照)]

重要な基本的注意

1.
皮膚感染を伴う場合には使用しないこと。

2.
皮膚萎縮、ステロイド潮紅などの局所的副作用が発現しやすいので、特に顔面、頸、陰部、間擦部位への使用にあたっては、症状の程度を十分考慮すること。

3.
大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがあるので、長期又は大量使用、密封法(ODT)は難治性症例に対してのみ行うこと。

4.
症状改善後は、投与回数又は投与量を減少させるなど、より緩和な局所療法への転換を考慮すること。

副作用

副作用等発現状況の概要

ジフロラゾン酢酸エステル製剤としての調査症例15,960例(軟膏・クリームを含む)中、副作用発現症例は233例(1.46%)であり、副作用発現件数は延べ269件であった。主な副作用は毛嚢炎・せつ66件(0.41%)、皮膚萎縮44件(0.28%)、ステロイドざ瘡31件(0.19%)等であった。(再審査結果通知:1992年6月)
臨床検査値では、20g/日以上外用した症例の一部に軽度な副腎皮質系機能抑制(血中コルチゾール値、好酸球数の減少等)が認められた。(承認時までの調査及び市販後の使用成績調査の集計)

重大な副作用

1. 皮膚の細菌・真菌感染症(0.53%)
皮膚の細菌性感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎等)、真菌性感染症(カンジダ症、白癬等)があらわれることがある〈密封法(ODT)の場合、起こりやすい〉。このような場合には、適切な抗菌剤、抗真菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には、使用を中止すること。

2. 下垂体・副腎皮質系機能抑制(0.01%)
大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、下垂体・副腎皮質系機能の抑制を来すことがあるので、短期の使用が望ましい。特別の場合を除き、密封法(ODT)や長期又は大量使用は避けること。

3. 後嚢白内障・緑内障(頻度不明)
眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障を起こすことがあるので注意すること。
大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、後嚢白内障、緑内障等があらわれることがある。

その他の副作用

皮膚注1)
0.1〜1%未満
長期連用によるステロイド皮膚(皮膚萎縮、線条、毛細血管拡張、紫斑)、ステロイドざ瘡、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほ、口囲等に潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張を生じる。)

皮膚注1)
0.1%未満
乾燥、長期連用による魚鱗癬様皮膚変化、多毛、色素脱失

過敏症注2)
0.1〜1%未満
皮膚の刺激感

過敏症注2)
0.1%未満
そう痒、発疹、灼熱感、接触皮膚炎

その他の副作用の注意

注1)このような場合には徐々にその使用を差し控え、副腎皮質ステロイドを含有しない薬剤に切り替えること。

注2)このような症状があらわれた場合には使用を中止すること。

高齢者への使用

大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては特に注意すること。[一般に高齢者では副作用があらわれやすい。]

妊婦、産婦、授乳婦等への使用

1. 妊婦等:
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては使用しないことが望ましい。[動物実験(ウサギ)で催奇形作用が報告されている。]

2. 授乳婦:
本剤使用中は授乳を避けさせることが望ましい。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。]

小児等への使用

長期使用又は密封法(ODT)は、発育障害を来すおそれがあるので避けること。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。

適用上の注意

1. 投与経路:
皮膚外用剤として用法・用量にしたがって使用し、眼科用として使用しないこと。

2. 投与時:
密封法(ODT)により副作用はより発現しやすくなり、また、皮膚の浸軟又は汗疹があらわれることがあるので、特別な場合を除き、密封法(ODT)は避けること。
特に、広範囲の密封法(ODT)により体温調節が難しくなるおそれがあるので、体温上昇がみられる場合には密封法(ODT)を行わないこと。

その他の注意

1.
化粧下、ひげそり後等に使用することのないよう注意すること。

2.
類薬(外国)で、乾癬患者に長期大量使用した場合、治療中あるいは治療中止後、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬等がみられたとの報告がある。

3.
類薬(外国)で、頭蓋内圧亢進がみられたとの報告がある。

薬物動態

[参考]
3H-ジフロラゾン酢酸エステル軟膏・クリームのラット及びウサギでの経皮投与後の体内動態を検討した。本剤は速やかに経皮吸収され高い皮膚内濃度を示し、皮膚移行後、速やかに代謝をうけ、diflorasone 17-acetate、diflorasone 21-acetate及びdiflorasoneとなる。そして、本剤はほぼ全身に分布するが、主に肝臓、腎臓、副腎、消化管内容物に分布した。また、塗布部位の皮膚内に長時間にわたり残留が認められ、ラットでは主として糞中に、ウサギでは主に尿中に排泄された1)

臨床成績

国内36施設で実施された5種類の比較試験を含む臨床試験(臨床効果判定症例数:軟膏986例、クリーム761例)の概要は次のとおりである2)〜9)

1.比較試験
比較試験は、湿疹・皮膚炎群、乾癬、痒疹群及び紅皮症を対象に実施され、本剤の有用性が確認された。

2.疾患別・剤形別効果
各種疾患の有効率は下表のとおりで、軟膏90.7%(894/986)、クリーム91.2%(694/761)であった。

疾患名 軟膏:有効症例数/症例数 軟膏:有効率(%) クリーム:有効症例数/症例数 クリーム:有効率(%) 
合計 894/986 90.7 694/761 91.2 
湿疹・皮膚炎群
急性湿疹、接触性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作皮膚炎、アトピー皮膚炎、慢性湿疹、ビダール苔癬、進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎 
273/287 95.1 179/184 97.3 
乾癬 153/168 91.1 65/72 90.3 
痒疹群
急性痒疹(ストロフルス)、じん麻疹様苔癬、結節性痒疹(固定じん麻疹)、亜急性痒疹、慢性痒疹 
95/96 99.0 80/85 94.1 
掌蹠膿疱症 37/43 86.0 30/33 90.9 
紅皮症
原発性紅皮症、続発性紅皮症 
56/59 94.9 45/50 90.0 
薬疹・中毒疹 31/31 100 32/32 100 
虫さされ 32/32 100 29/29 100 
紅斑症
多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑 
20/23 87.0 26/26 100 
慢性円板状エリテマトーデス 29/31 93.5 30/31 96.8 
扁平(紅色)苔癬 22/24 91.7 25/25 100 
毛孔性紅色粃糠疹 13/14 92.9 7/9 77.8 
特発性色素性紫斑
マヨッキー(血管拡張性環状)紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎 
26/31 83.9 29/31 93.5 
肥厚性瘢痕・ケロイド 22/33 66.7 20/31 64.5 
肉芽腫症
サルコイドーシス、環状肉芽腫 
17/17 100 16/21 76.2 
悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む) 17/22 77.3 15/19 78.9 
皮膚アミロイドーシス
アミロイド苔癬、斑状型アミロイド苔癬、その他皮膚アミロイドーシス 
13/15 86.7 21/23 91.3 
天疱瘡群
天疱瘡、家族性良性慢性天疱瘡 
14/20 70.0 12/13 92.3 
類天疱瘡
(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む) 
10/14 71.4 11/11 100 
円形脱毛症 14/26 53.8 22/36 61.1 

薬効薬理

1.臨床薬理試験

(1)血管収縮作用
ヒト皮膚での血管収縮試験において、本剤の血管収縮能は、クロベタゾールプロピオン酸エステルと同等で、ベタメタゾン吉草酸エステル及びヒドロコルチゾン酪酸エステルより有意にすぐれていた10)

(2)局所皮膚への影響
ヒト皮膚に6週間密封塗布したとき、皮膚の厚さの減少を指標にした本剤による皮膚菲薄化は、ベタメタゾン吉草酸エステルとほぼ同等で、クロベタゾールプロピオン酸エステルより有意に弱かった11)

(3)全身への影響
血中及び尿中コルチゾール等を指標とした下垂体・副腎皮質系機能抑制はベタメタゾン吉草酸エステルと同等ないし僅かに強い程度であった12)

2.基礎薬理試験

(1)抗炎症作用
マウスのクロトン油又はピクリールクロライドによる耳浮腫及び抗ラットウサギ血清によるラット皮膚浮腫等の急性炎症を抑制するとともに、ラットの肉芽増殖、創傷治癒及びアジュバント関節炎等の増殖性炎症及びマウスのアレルギー性炎症を抑制した13)

(2)全身への影響
ラットのアジュバント関節炎において、胸腺及び脾臓の重量を減少させたが、その程度はベタメタゾン吉草酸エステルとほぼ同等であった13)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ジフロラゾン酢酸エステル(Diflorasone Diacetate)

**化学名
6α,9-Difluoro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17,21-diacetate

構造式

分子式
C26H32F2O7

分子量
494.53

融点
220〜225℃(分解)

性状
ジフロラゾン酢酸エステルは白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。アセトン又はクロロホルムに溶けやすく、アセトニトリル又は酢酸エチルにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(99.5)又はジエチルエーテルに溶けにくく、塩化n-ブチルに極めて溶けにくく、水又はヘキサンにほとんど溶けない。

包装

軟膏 0.05%:5g×10(チューブ)

軟膏 0.05%:10g×10(チューブ)

軟膏 0.05%:500g(瓶)

クリーム 0.05%:5g×10(チューブ)

クリーム 0.05%:10g×10(チューブ)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
川井龍太郎 他:基礎と臨床 17(10):3137,1983[DF-035]

2)
渡辺 靖 他:薬理と治療 11(12):5395,1983[DF-027]

3)
渡辺 靖 他:皮膚 26(1):139,1984[DF-009]

4)
渡辺 靖 他:皮膚 26(1):150,1984[DF-007]

5)
久木田淳 他:皮膚 26(2):361,1984[DF-006]

6)
久木田淳 他:皮膚 26(2):374,1984[DF-010]

7)
久木田淳 他:皮膚 26(2):393,1984[DF-008]

8)
久木田淳 他:西日本皮膚科 47(3):530,1985[DF-039]

9)
阿曽三樹 他:西日本皮膚科 43:1158,1981[DF-012]

10)
水野惇子:薬理と治療 11(11):5045,1983[DF-026]

11)
水野惇子:薬理と治療 11(11):5053,1983[DF-025]

12)
社内報告書(健康成人・臨床薬理試験)(D199800716-01.00)

13)
久木浩平 他:応用薬理 27(5):941,1984[DF-029]

文献請求先・製品情報お問い合わせ先

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**〒103-8411 東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号

0120-189-371

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製造販売
アステラス製薬株式会社

**東京都中央区日本橋本町2丁目5番1号