グレースビット錠50mg/グレースビット細粒10%


作成又は改訂年月

**2014年9月改訂(第9版)

*2013年7月改訂

日本標準商品分類番号

876241

日本標準商品分類番号等

国際誕生年月
2008年1月

薬効分類名

広範囲経口抗菌製剤

承認等

販売名
グレースビット錠50mg

販売名コード

6241018F1027

承認・許可番号

承認番号
22000AMX00015
商標名
GRACEVIT TABLETS

薬価基準収載年月

2008年4月

販売開始年月

2008年6月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

包装に表示の使用期限内に使用すること。

規制区分

処方箋医薬品

※注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1錠中に次の成分を含有

有効成分

シタフロキサシン水和物 53.3mg
(シタフロキサシンとして50mg)

添加物

D−マンニトール、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール6000、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素、カルナウバロウ

性状

剤形

フィルムコーティング錠

白色〜微黄白色

外形

直径 (mm)

7.7

厚さ (mm)

4.1

重さ (mg)

165

識別コード

DSC
741

販売名
グレースビット細粒10%

販売名コード

6241018C1020

承認・許可番号

承認番号
22000AMX00016
商標名
GRACEVIT FINE GRANULES

薬価基準収載年月

2008年4月

販売開始年月

2008年6月

貯法・使用期限等

貯法

室温、遮光保存

使用期限

包装に表示の使用期限内に使用すること。

規制区分

処方箋医薬品

※注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

細粒1g中に次の成分を含有

有効成分

シタフロキサシン水和物 106.6mg
(シタフロキサシンとして100mg)

添加物

D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、黄色三二酸化鉄、ヒドロキシプロピルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、クエン酸トリエチル、軽質無水ケイ酸、アスパルテーム (L−フェニルアラニン化合物)、香料、乳糖水和物

性状

剤形

コーティング細粒注)
注)味はわずかに甘い。

淡黄色〜黄色

一般的名称

シタフロキサシン水和物製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分又は他のキノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者

2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 (「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

3.
小児等 (「小児等への投与」及び「その他の注意」の項参照)

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア (クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア (クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ (マイコプラズマ・ニューモニエ)

〈適応症〉

○咽頭・喉頭炎、扁桃炎 (扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染

○膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎

○子宮頸管炎

○中耳炎、副鼻腔炎

○歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

効能又は効果に関連する使用上の注意

本剤は下痢、軟便が高頻度に認められているため、本剤の使用に際しては、リスクとベネフィットを考慮すること (「副作用」の項参照)。

用法及び用量

通常、成人に対してシタフロキサシンとして1回50mg (錠: 1錠又は細粒: 0.5g) を1日2回又は1回100mg (錠: 2錠又は細粒: 1.0g) を1日1回経口投与する。なお、効果不十分と思われる症例には、シタフロキサシンとして1回100mg (錠: 2錠又は細粒: 1.0g) を1日2回経口投与することができる。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

2.
腎機能が低下している患者では、本剤の血中濃度が上昇するため、投与量、投与間隔を調節すること (「薬物動態」の項参照)。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
腎機能障害のある患者[高い血中濃度の持続が認められている (「薬物動態」の項参照)。]

2.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[類薬で痙攣を起こすとの報告がある。]

3.
重症筋無力症の患者1)[類薬で症状を悪化させるとの報告がある。]

4.
高齢者 (「高齢者への投与」の項参照)

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等 
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、カルシウム剤、鉄剤

臨床症状・措置方法
本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤は本剤投与後2時間以上あけて投与する。

機序・危険因子
これらの薬剤とキレートを形成し、本剤の吸収が低下すると考えられている。

2. 薬剤名等 
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
    ケトプロフェン等

臨床症状・措置方法
痙攣を起こすことがある。

機序・危険因子
中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。

副作用

副作用等発現状況の概要

国内の臨床試験において、総症例1,220例中409例(33.5%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主な副作用は、下痢69例(5.7%)、軟便86例(7.0%)、頭痛26例(2.1%)、ALT(GPT)上昇72例(5.9%)、AST(GOT)上昇59例(4.8%)、好酸球数増加47例(3.9%)等であった。〔用法・用量追加承認時〕

使用成績調査(調査期間:2008年12月〜2010年11月)において、総症例3,331例中148例(4.4%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主な副作用は、下痢41例(1.2%)、軟便14例(0.4%)、ALT(GPT)上昇22例(0.7%)、AST(GOT)上昇16例(0.5%)、発疹12例(0.4%)等であった。〔使用成績調査終了時〕

重大な副作用

1. *ショック、アナフィラキシー
頻度不明注) 
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、呼吸困難、皮疹、血管性浮腫等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2. *皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
頻度不明注) 
皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

3. 急性腎不全
頻度不明注) 
急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

4. 肝機能障害
0.1%未満 
肝機能障害(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

5. *偽膜性大腸炎
頻度不明注) 
偽膜性大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

6. 低血糖
0.1%未満 
低血糖があらわれることがあり、低血糖性昏睡に至る例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病患者、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。

注)自発報告において認められている副作用のため頻度不明。

重大な副作用(類薬)

1.
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)

2.
痙攣

3.
QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)

4.
黄疸

5.
間質性肺炎

6.
横紋筋融解症

7.
腱障害

8.
無顆粒球症

9.
汎血球減少症

10.
血小板減少

11.
溶血性貧血

12.
錯乱、せん妄、幻覚などの精神症状

13.
重症筋無力症の悪化1)

他のニューキノロン系抗菌薬で以上の重大な副作用が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

1. 過敏症
0.1〜1%未満 
発疹

2. 過敏症
0.1%未満 
そう痒症、蕁麻疹

3. **過敏症
頻度不明注) 
光線過敏症

4. 精神神経系
0.1〜1%未満 
めまい、頭痛

5. 精神神経系
0.1%未満 
不眠症

6. 消化器
1〜5%未満 
下痢、軟便

7. 消化器
0.1〜1%未満 
腹部不快感、腹部膨満、腹痛、便秘、消化不良、悪心、口内炎

8. 消化器
0.1%未満 
口唇炎、排便回数増加、舌炎、嘔吐、口の錯感覚、口渇

9. 肝臓 
1〜5%未満 
ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇

10. 肝臓 
0.1〜1%未満 
LDH上昇、γ-GTP上昇、ALP上昇

11. 血液 
1〜5%未満 
好酸球数増加

12. 血液 
0.1〜1%未満 
好中球数減少、血小板数増加、白血球数減少

13. 血液 
0.1%未満 
白血球数増加

14. その他
0.1〜1%未満 
CK(CPK)上昇、血糖減少、血中カリウム増加、トリグリセリド増加、尿蛋白陽性

15. その他
0.1%未満 
腟カンジダ症、背部痛、悪寒、異常感、倦怠感、血中カリウム減少

上記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

注)自発報告において認められている副作用のため頻度不明。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること (「薬物動態」の項参照)。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験 (ラット) で乳汁中へ移行することが報告されている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していないので、投与しないこと (「その他の注意」の項参照)。

過量投与

(海外データ)
本剤500mg 1日1回又は2回の経口投与後、紫外光照射により光毒性を示した。
また、本剤400〜800mg 1日2回の静脈内投与で、QT間隔延長に用量相関性を認め、変動幅の平均は10msec以下であった。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)

その他の注意

1.
動物実験 (幼若犬) で関節部の軟骨障害が認められている。

2.
培養細胞 (チャイニーズ・ハムスター由来) で、光染色体異常誘発性が認められている。

薬物動態

1. 血清中濃度2, 3)
健康成人にシタフロキサシンを単回経口投与 (空腹時及び食後) した場合、血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである。

シタフロキサシン単回経口投与時の血清中濃度推移



(「シタフロキサシン単回経口投与時の薬物動態パラメータ」の表参照)

2. 血清蛋白結合率3)
健康成人にシタフロキサシンを100mg単回経口投与した場合、投与後1時間、4時間、8時間における本剤の血清蛋白結合率は46%〜55% (限外ろ過法) であり、いずれの時点においてもほぼ一定の値を示した。

3. 分布4, 5)
シタフロキサシン50mg又は100mgを単回経口投与した場合の各組織及び体液中濃度は以下のとおりであり、良好な組織移行性が確認された。

(「組織・体液中シタフロキサシン濃度」の表参照)

4. 代謝
シタフロキサシンはほとんど代謝を受けず、未変化体のまま尿中に排泄された。一部、血清、尿、糞中代謝物としてグルクロナイド、7'−オキソ体、7'S −水酸化体、7'S −水酸化体グルクロナイド、N −アセチル抱合体が認められた6)
ヒト生体試料を用いたin vitro 試験では、チトクロームP450分子種CYP1A1及びCYP1A2に対し弱い阻害を示したが、CYP2C9、CYP2D6及びCYP3A4などに対しては、阻害は認められなかった7)

5. 排泄
健康成人にシタフロキサシン50mg、100mgを空腹時単回経口投与した場合、投与後48時間までに、それぞれ投与量の約70%が未変化体のまま尿中に排泄された3)
また、海外において14C標識シタフロキサシン100mg投与後、72時間までに放射能の約80%が尿中へ、約20%が糞中に排泄された8)

6. 腎機能障害患者での体内動態9)
クレアチニンクリアランス値 (Ccr) により3群に分け、シタフロキサシン50mgを空腹時単回投与した場合、腎機能低下に伴い、血清中濃度の消失の遅延及び尿中排泄の遅延が認められた。

(「腎機能障害患者における薬物動態パラメータ」の表参照)

(「参考: 腎機能障害患者におけるシタフロキサシンの用法及び用量の目安」の表参照)

7. 高齢者での体内動態10)
高齢者5名 (67〜80歳) 及び非高齢者6名 (25〜35歳) にシタフロキサシン100mgを空腹時単回投与した場合、非高齢者群に比べて高齢者群では、t1/2の延長、Cmaxの低下及びAUC0-24hrの増加がみられた。シタフロキサシンの薬物動態は、加齢に伴う吸収・排泄機能低下により影響されることが示唆された。

(「高齢者及び非高齢者における薬物動態パラメータ」の表参照)

シタフロキサシン単回経口投与時の薬物動態パラメータ
ノンコンパートメント解析 (mean±SD)

投与量 例数 Cmax
(μg/mL) 
Tmax
(hr) 
t1/2
(hr) 
AUC0-∞
(μg・hr/mL) 
Vdz/F
(L/kg) 
50mg空腹時 0.51±0.14 1.2±0.5 6.2±0.4 2.62±0.52 2.8±0.5 
100mg空腹時 1.00±0.14 1.2±0.5 5.7±0.7 5.55±1.22 2.5±0.7 
100mg食後 0.88±0.31 2.0±0.8 5.5±0.5 5.81±1.31 2.3±0.3 

組織・体液中シタフロキサシン濃度 (mean±SD)

組織・体液 投与量 例数 投与後時間
(hr) 
組織・体液中濃度
(μg/g、μg/mL) 
対血清中濃度比 
中耳粘膜 100mg 2.7〜3.1 0.82±0.73 1.4±0.7a) 
上顎洞粘膜 100mg 2.0〜3.0 0.56±0.31 1.1±0.8 
篩骨洞粘膜 100mg 2.3〜4.0 0.96±0.61 1.6±0.5 
口蓋扁桃 50mg 10 2.0〜3.8 0.63±0.20 1.8±0.4 
歯肉 50mg 10 2.7〜3.7 0.57±0.17 1.3±0.4 
抜歯創貯留液 50mg 10 2.7〜3.7 0.32±0.17 0.8±0.5 

  a) 血清中濃度が定量下限未満となった被験者以外の8名の値


腎機能障害患者における薬物動態パラメータ
ノンコンパートメント解析 (mean±SD)

腎機能
(Ccr mL/min) 
例数 Cmax
(μg/mL) 
Tmax
(hr) 
t1/2
(hr) 
AUC0-24hr
(μg・hr/mL) 
累積尿中排泄率
(%)
0〜24時間 
累積尿中排泄率
(%)
0〜48時間 
軽度障害群
60≦Ccr<90 
0.63±0.35 1.7±1.1 7.5±1.3 4.18±0.91 43.4±7.1 48.9±7.4 
中等度障害群
30≦Ccr<60 
0.75±0.22 1.5±1.3 11.5±2.2 6.29±1.21 37.4±4.2 44.7±2.2 
重度障害群
10≦Ccr<30 
0.60±0.06 1.8±1.9 16.3±2.1 6.33±0.67 14.5±5.1 20.1±5.8 

参考: 腎機能障害患者におけるシタフロキサシンの用法及び用量の目安

腎機能
(Ccr mL/min) 
用法及び用量の目安
(体重60kgとした場合) 
母集団薬物動態解析から
推定したパラメータ
Cmax
(μg/mL) 
母集団薬物動態解析から
推定したパラメータ
AUC0-24hr
(μg・hr/mL) 
50≦Ccr 50mg 1日2回 Cmax≦0.72 AUC0-24hr≦12.92 
50≦Ccr 100mg 1日1回 Cmax≦1.01 AUC0-24hr≦12.92 
30≦Ccr<50 50mg 1日1回 0.51<Cmax≦0.67 6.46<AUC0-24hr≦10.78 
10≦Ccr<30 1回50mgを48時間以上の間隔毎 0.50<Cmax≦0.91 5.39<AUC0-48hr×1/2≦16.13 

高齢者及び非高齢者における薬物動態パラメータ
ノンコンパートメント解析 (mean±SD)

群 例数 Cmax
(μg/mL) 
Tmax
(hr) 
AUC0-24hr
(μg・hr/mL) 
t1/2a)
(hr) 
高齢者 0.61±0.23 3.80±1.48 6.35±1.51 6.05±1.19 
非高齢者 0.91±0.38 0.92±0.20 4.86±0.82 3.30±1.18 

  a) 1−コンパートメントモデル解析により算出


臨床成績

1. 疾患別有効率
呼吸器感染症、尿路感染症、耳鼻咽喉科領域感染症、歯科・口腔外科領域感染症及び性感染症患者を対象とした臨床試験において、シタフロキサシン50mg 1日2回又は100mg 1日1〜2回投与したときの疾患別の有効率は表1のとおりである。

2. 菌種別菌消失率
呼吸器感染症、尿路感染症、耳鼻咽喉科領域感染症、歯科・口腔外科領域感染症及び性感染症患者を対象とした臨床試験より収集した原因微生物の菌種別の菌消失率は表2のとおりである。

表1

疾患名 有効例数/評価対象例数 有効率(%) 
全疾患 991/1059 93.6 
呼吸器感染症 全体 493/528 93.4 
 咽頭・喉頭炎 8/8 100 
 扁桃炎 (扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む) 11/12 91.7 
 急性気管支炎 14/14 100 
 肺炎 全体 350/373 93.8 
 肺炎 細菌性肺炎 323/344 93.9 
 肺炎 非定型肺炎 (細菌との混合感染を含む) 全体 27/29 93.1 
 肺炎 非定型肺炎 (細菌との混合感染を含む) マイコプラズマ肺炎 20/22 90.9 
 肺炎 非定型肺炎 (細菌との混合感染を含む) クラミジア肺炎 6/6 100 
 肺炎 非定型肺炎 (細菌との混合感染を含む) レジオネラ肺炎 1/1 − 
 慢性呼吸器病変の二次感染 106/117 90.6 
尿路感染症 全体 302/318 95.0 
 膀胱炎 239/252 94.8 
 腎盂腎炎 63/66 95.5 
非淋菌性性感染症 全体 70/75 93.3 
 尿道炎 全体 31/35 88.6 
 尿道炎 非淋菌性クラミジア性 23/27 85.2 
 尿道炎 非淋菌性非クラミジア性 8/8 100 
 子宮頸管炎 39/40 97.5 
耳鼻咽喉科領域感染症 全体 85/96 88.5 
 中耳炎 43/49 87.8 
 副鼻腔炎 42/47 89.4 
歯科・口腔外科領域感染症 全体 41/42 97.6 
 歯周組織炎 17/17 100 
 歯冠周囲炎 7/7 100 
 顎炎 17/18 94.4 

表2

菌種・菌属 消失菌株/
菌消失率評価株数 
菌消失率 (%) 
ブドウ球菌属 108/113 95.6 
レンサ球菌属 (肺炎球菌を除く) 61/61 100 
肺炎球菌 157/164 95.7 
肺炎球菌 ペニシリン耐性肺炎球菌a) 13/14 92.9 
肺炎球菌 ペニシリン中等度耐性肺炎球菌b) 50/52 96.2 
肺炎球菌 マクロライド耐性肺炎球菌c) 110/116 94.8 
肺炎球菌 多剤耐性肺炎球菌d) 81/85 95.3 
腸球菌属 111/112 99.1 
モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス 25/25 100 
大腸菌 123/133 92.5 
シトロバクター属 12/12 100 
クレブシエラ属 54/58 93.1 
エンテロバクター属 14/14 100 
セラチア属 7/9 77.8 
プロテウス属 7/8 87.5 
モルガネラ・モルガニー 4/4 − 
インフルエンザ菌 108/108 100 
インフルエンザ菌 BLNARe) 31/31 100 
緑膿菌 33/47 70.2 
緑膿菌 呼吸器感染症由来緑膿菌 2/11 18.2 
緑膿菌 尿路感染症由来緑膿菌 30/33 90.9 
ペプトストレプトコッカス属 21/21 100 
プレボテラ属 33/33 100 
ポルフィロモナス属 3/3 − 
フソバクテリウム属 2/2 − 
トラコーマクラミジア (クラミジア・トラコマティス) 63/65 96.9 
肺炎クラミジア (クラミジア・ニューモニエ) 1/1 − 
肺炎マイコプラズマ (マイコプラズマ・ニューモニエ) 13/13 100 

a) ペニシリンG; MIC≧2μg/mL[経口ペニシリンVの基準 (CLSI法) を使用]
b) ペニシリンG; 0.12μg/mL≦MIC≦1μg/mL[経口ペニシリンVの基準 (CLSI法) を使用]
c) クラリスロマイシン; MIC≧1μg/mL又はエリスロマイシン; MIC≧1μg/mL
d) キノロン耐性 (レボフロキサシン; MIC≧8μg/mL又はモキシフロキサシン; MIC≧4μg/mL)、ペニシリン耐性 (ペニシリンG; MIC≧2μg/mL[経口ペニシリンVの基準 (CLSI法) を使用])、セフェム耐性 (セフロキシム; MIC≧2μg/mL)、マクロライド耐性 (クラリスロマイシン; MIC≧1μg/mL又はエリスロマイシン; MIC≧1μg/mL)、テリスロマイシン耐性 (テリスロマイシン; MIC≧4μg/mL)、テトラサイクリン耐性 (テトラサイクリン; MIC≧8μg/mL)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム耐性 (スルファメトキサゾール・トリメトプリム; MIC≧76/4μg/mL)、のうち2系統以上の耐性株
e) β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌


薬効薬理

1. 抗菌作用
シタフロキサシンは好気性又は嫌気性のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、非定型菌に対し、幅広い抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア (クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア (クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ (マイコプラズマ・ニューモニエ) などに対して強い抗菌力を示した11)。特に肺炎球菌 (ペニシリン耐性、マクロライド耐性及び多剤耐性肺炎球菌を含む)4, 11, 12, 13) 及び腸球菌属、緑膿菌及び大腸菌 (キノロン耐性大腸菌を含む)11, 14) に対して、他のニューキノロン系抗菌薬に比べ強い抗菌活性を示した。

2. 実験的感染症に対する治療効果
グラム陽性菌及びグラム陰性菌によるマウス敗血症モデルにおいて、シタフロキサシンはin vitro での抗菌力を反映する感染防御効果を示した11)。また、肺炎球菌による呼吸器感染モデルにおいて、対照とした他のニューキノロン系抗菌薬より優れた治療効果を示した11)

3. 呼吸器感染症におけるPK/PD解析
呼吸器感染症を対象とした臨床試験で実施したPK/PD解析結果から、AUC0-24hr/MIC又はCmax/MICの上昇に伴い、原因菌の消失率が上昇することが確認された。肺炎球菌22株を含む呼吸器感染症の主要原因菌の消失率は、AUC0-24hr/MICが100を超えた場合に96.3% (78/81)、Cmax/MICが5を超えた場合に96.3% (79/82) であった12)。また、肺炎球菌性呼吸器感染症を対象とした臨床試験における肺炎球菌の消失率は、血清中シタフロキサシン濃度を非結合型濃度に換算したfAUC0-24hr/MICが30を超えた場合に98.9% (89/90)、f Cmax/MICが5を超えた場合に100% (69/69) であった13)

4. 作用機序
シタフロキサシンは細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに対して阻害活性を示し、殺菌的に作用する。本剤の両酵素に対する阻害活性は、対照とした他のニューキノロン系抗菌薬より強かった11, 15)。さらに、本剤はキノロン耐性菌由来酵素に対しても強い阻害活性を示した11, 16, 17)

有効成分に関する理化学的知見

1. 一般名
シタフロキサシン水和物 (Sitafloxacin Hydrate)

2. 略名
STFX

3. 化学名
(−)-7-[(7S )-7-Amino-5-azaspiro[2.4]heptan-5-yl]-8-chloro-6-fluoro-1-[(1R ,2S )-2-fluoro-1-cyclopropyl]-1,4-dihydro-4-oxo-3-quinolinecarboxylic acid sesquihydrate

4. 分子式
C19H18ClF2N3O3・11/2H2O

5. 分子量
436.84

6. 構造式

7. 性状
微黄白色〜黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
リン酸試液にやや溶けにくく、0.1mol/L塩酸試液、アセトニトリル又はメタノールに溶けにくく、エタノール (99.5) に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。光によって淡黄褐白色となる。
(リン酸試液: リン酸50gを水950mLに溶かす)

8. 融点
217〜223℃

9. 分配係数
1-オクタノール/水 (25℃); 0.244

包装

グレースビット錠50mg
   (プラスチックボトル) 100錠
   (PTP) 100錠 500錠

グレースビット細粒10%
   (プラスチックボトル) 30g

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Sieb JP:Neurology 1998; 50 (3):804-807

2)
中島光好:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):154-155

3)
Nakashima M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1995; 39 (1):170-174

4)
馬場駿吉ほか:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):110-120

5)
佐々木次郎ほか:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):121-129

6)
社内資料:体内動態の検討

7)
社内資料:チトクロームP450に及ぼす影響

8)
社内資料:14C標識物質を用いた体内動態の検討

9)
中島光好ほか:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):21-24

10)
関野久邦:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):18-20

11)
神田裕子ほか:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):1-17

12)
斎藤 厚ほか:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):63-80

13)
社内資料:肺炎球菌性呼吸器感染症を対象とした臨床試験

14)
河田幸道ほか:日本化学療法学会雑誌 2008; 56 (S-1):92-102

15)
Onodera Y, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 2002; 46 (6):1800-1804

16)
Tanaka M, et al.:J Infect Chemother. 2000; 6 (3):131-139

17)
Akasaka T, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1999; 43 (3):530-536

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